歯車

坦々と歯車が回る

曇空の朝も暗く静かな夜も
雪が残る春も草木が枯れる秋も
昨日みたいな今日も来るはずの明日も

歯車は誰の手にも止められない
手先が繊細で器用な少女も
筋肉が強健で強力な大男さえも

疲弊すること
悲哀すること
歓喜すること
を知ることなく
坦々と回り続ける

穴の空いた靴下を縫い直すように
苦い珈琲をゆっくり濃く淹れるように
暗い寝室で何度も読んだ詩を読むように

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