雨の日に乗った電車

湿った髪の臭いや
香水と香水が混じった化学臭や
皮膚から滲み出る人臭が
乱れ絡み合い
車内を充す

外気温との差で結露した車窓から
ぼんやりと見える灰色の街は輪郭がない

高架橋から見下ろすアスファルトとの距離感を失い
一瞬足が竦み
反対側の車窓へ視線を飛ばす

ほとんど景色は変わらない

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