都会の夜

住み慣れた都会の
星々は高層ビル群や街の明かりに埋もれて
夜に沈む

星ひとつ北極星さえ見えない夜を
過ごすこと
ネオンの明かりの下電車が走る音を聞きながら
眠ること
嵐が過ぎ去った後のように荒れた朝を
迎えること
それらのことを当然の事のように
受け入れるようになった

いつからか
夜になる度に
星になりたいと願う少年が
「星が見たい星を見せて」と
深海のように静かに
刀のように鋭く
耳元で囁く

星の見えない都会の雨夜
少年の囁く声に刺される恐怖と
抱き合い布団に潜る

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