詩 「眼鏡」

枕元に置いた眼鏡が
すうっと宙に浮いて
自分自身の寝姿を見つめている

歯軋りの音に驚いた眼鏡は
寝室の扉を開けて
ベランダへと飛び出る

湿気を纏う夜の春風が吹いて
薔薇の木が揺れて
ふっと空を見上げる

自分の目では見たことがない
流れ星がゆっくりゆっくり
流れていくのがレンズに映る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?