詩 「台所」

数々の指紋で曇った窓を
開けると雨戸から
冷めた風呂の湯みたいな
温い夜風が吹き抜けて
電気の消えた台所に
夏の匂いは循環し
油の染み付いた換気扇から
また外へ流れ出て
閉め切られていない蛇口から滴が
シンクに一滴ずつ落ちる音が重く静かに鳴り響く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?