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アメリカ留学記~世界一になる方法

ふと10年前の話を思い出した

「誰もしていないことをしたら一番になれる。」この言葉が今でも忘れられない。

2010年の 5 月から 2 ヶ月をヒューストンで過ごした。知らない人も多いと思うが、ヒューストンには世界一巨大なメディカルセンターがある。東京ドーム 64 個分の敷地分に 100 個以上の病院や医療施設が林立している。

そこにあるベイラー医科大学で教授をしている一人の日本人医師がいた。

人工心臓の世界的権威、能勢之彦教授だ。

アメリカで研究をしいる徳島大学の先生に会うために訪れた研究室で能勢先生に出会った。見た目はいかにも恐そうなおじさんだったのだが、ものすごく親切で自宅の高級マンションにも何回も招待して頂いた。

奥様の作った日本料理を食べながら、渡米以来 40 年以上に渡って教授をしてきた先生がしてくれた話はどれも私を引きつけた。

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人工肺、人工腎臓、人工ペニスと先生は何でも作ってきた。笑い話の中に垣間見る先生の苦労も知ることができた。

能勢先生はアメリカで最も成功している日本人の一人にも選ばれており、ノーベル賞にも名前が上がるほど日本を代表する医者である。

私もいつか先生のようになりたいという思いがあった。あの時の私はずっと何かの分野で世界一なりたいと思っていた。

先生にどうしても聞きたい事が 1 つあった。それはどうしたら先生のように世界で活躍する医者になれるのかである。驚いた事に先生はそんな事簡単だとおっしゃった。

「誰もしていないことをしたら一番になれる」

先生が人工心臓を作り始めたとき世界に人工心臓を作る人は先生と一緒に人工心臓の開発を始めた 2 人だけ、つまり人工心臓を作る人が世界に 3 人しかいなかったのである。

つまり、人工心臓を作り始めた時点ですでに世界で三本の指に入っていたと言う。

私の浅はかな考えでは先生の所で人工心臓を学べば私も世界一になれるのではないかという考えが頭によぎった。

しかし、先生は今では世界に人工心臓を作る人は六千人いるから今始めても六千番目だよとおっしゃった。

その時の私はずっと誰もが目指す大学に入りたいなど、既存の価値観にのっかかってきただけであったと思う。

人がしていないことをする。そんな事考えたこともなかった。しかし確かに誰もしていなければその時点で一番だ。そこに可能性があると思った。

能勢先生のように自分にしかできないこと、誰もしていないことを見つけることができれば将来に大きな可能性があると思う。

もう能勢先生にお会いすることはできないが、あの時の出会いを大切にしたい。いつの日かの世界一を目指して…

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