母親の介護体験記


今回はこれまで体験してきた、もうすぐ96歳になる母親の在宅介護体験記を綴ってみます。ちなみに妻の両親と私の父親は既に他界し、存命なのは私の母親だけですので、比較的負担は大きくはない中での体験記です。

在宅介護をするまで


まず在宅介護の話の前に、そこまでの簡単な経緯をお話しますと、私は京都市左京区で生まれ、3人兄弟の長男で妹と弟がいまして、大手ゼネコンの会社員だった父親の転勤に伴い福井県今庄市や兵庫県尼崎市を転々とし、尼崎市で小学校に入学し1学期を終えた段階で、さらに大阪市生野区に引っ越すことになりました。

その大阪市生野区の家は、母親側の祖父母が買っていた150坪ほどの土地で営んでいた月極駐車場に建てられた地上2階のみの家でした。祖父母は奈良県大和郡山市にも、敷地内にそこそこの面積の畑があるほどの家を相続していましたが、祖父はもともとは教師でビジネス経験はなく、祖母は専業主婦だったのにもかかわらず、夫婦で駐車場経営に乗り出していたのです。そして、祖父母が建てた家なので家賃はいらない代わりに、祖父母が奈良の家に帰っているときに駐車場の留守番をするということになっていました。

そして時が経ち、その祖父に続いて祖母が他界したちょうどバブルピークの頃に、その駐車場を売却して母親の女ばかりの4人姉妹で遺産相続をすることになり、既に私たち子供3人は結婚し独立していたので、2人暮らしになっていた両親は転居をすることになりましたが、その転居先が私が在宅介護することになった現在の母親宅です。

その間、父親は57歳の時に脳溢血の手術をして、そのため再雇用で勤めていた会社を退職し自宅療養していましたが、そんな頃に転居をすることになりました。そして、転居後しばらくして父親の状態が悪くなり入院することになりましたが、入院した約5年後に他界しました。そのため当時66歳だった母親はそこから一人暮らしをすることになりましたが、女性ならではのコミュ力で転居先でも友人・知人が多くなり、ありがたいことに90歳過ぎぐらいまでは元気溌剌と一人暮らしを謳歌してくれていました。

母親の衰えのきざし(2021年半ば頃から)


とはいうものの、年齢も年齢なので、85歳ぐらいには介護認定を依頼し、要支援1ないしは2の認定を受けていましたが、さすがに90歳頃には要介護1になりました。そして、その頃には週3日デイサービスに通って、1日あたり2時間近く軽い運動をしたりしていましたので、自分の足で歩けるほどの体力は維持してくれていましたし、食事も自分で作って食べていました。
 
しかし、93歳になって半年ほど経ったおととし2021年の半ばあたりから、電話で話をしていても、同じ質問を何度もするようになり、認知症がではじめたなぁと思うようになりました。そして、コロナワクチンをかかりつけ医で注射してもらってから、食欲がないと言い出しましたので、主治医に電話で問い合わせたところ、主治医の診察でも認知症という診断で、その処方した薬が食欲がなくなる原因と考えられるとのことで、その認知症の薬は一旦ストップしてもらうことになりました。
 
それから食欲は少し戻ったものの、認知症は進んでいくような感じがしていましたが、私も日常の仕事がある上に土日も何らかの予定があり、なかなか母親の面倒を見に行くこともできない状態がしばらく続いていました。
 

母親の入院&在宅介護のスタート&警察保護事件(2021年末~2022年5月)


そうこうしているうちに、2021年も年末を迎え、ちょうど12月30日の仕事納めの日に、母親から携帯に電話があり、しんどくて買い物に行けないため、食べるものがなく買ってきてほしいとのことでしたので、午前中の仕事納めを終えて、午後に母親宅に行ったところ、母親は床に座り込んでいたため、ビックリしてどうしたんやと聞きましたが、朦朧(もうろう)として受け答えもまともではないので、救急車を呼び救急病院に入院することになりました。
 
入院後の診断ではいくつかの検査数値で基準値外のものはあるものの、大きな問題はなく、しばらく栄養状態がよくなかったことが考えられ、1週間ほど入院して点滴と食事をしっかり摂ってもらいますとのことで、正月明けには退院することになりました。
 
そして、母親が自宅に戻りある程度元気になりましたので、しばらくは元通りに母親宅には行かないで済んでましたが、1月14日に母親から電話があり、また調子が悪くなったとのことでした。それで夜の予定があったのを急遽キャンセルして母親宅にかけつけましたが、ソファで横になっていました。
 
そこからやむなく毎日母親宅に通うようになりました。その状況がしばらく続いていた2022年5月下旬頃のことですが、母親宅から帰って自宅の晩酌で結構飲んで、夜10時過ぎに床に入って眠りに入っていたところ、警察から電話がかかっているので出てくれと、夜中の1時頃に家内にたたき起こされ電話にでたところ、母親を警察署で保護しているので来てほしいとのことでした。
 
保護された経緯は、母親が夜中の12時過ぎに徘徊をしていたのを通行人が見つけて、警察に通報されたのでパトカーで保護したとのことでしたが、飲酒していたため自家用車で行くことはできず、タクシーを頼んで1時間ぐらいかけて警察署に行き、そのまま母親宅までタクシーで連れて帰りましたが、わけのわからないことを言っており様子がおかしかったので、また救急車を呼び前回の病院まで連れて行ってもらい2度目の入院をしました。
 

在宅介護の継続(2022年6月頃~2023年7月頃)


その2度目の入院の血液検査では、腎臓関連の数値が悪化していることがわかり、点滴治療をしてもらうことになりましたが、点滴の針を自分で抜いてしまうことが数回あったため面倒見切れないので連れて帰ってほしいと、入院して2日後に病院から連絡があり、仕方なしに連れて帰ることになりました。
 
そして別の病院を探してくださいと紹介状を書いてもらったので、以前に一度相談に行ったことのある病院にその紹介状を持って行き、改めて相談したところ、「点滴の針を抜いた」との記載があり、院長からこれでは入院を受けることができないと断られ、その代わりに週に1回の通院で点滴することになりました。
 
そして、そこから(2022年6月から)本格的に在宅介護をスタートすることになりましたが、2022年に入ってガスコンロの消し忘れが3回ほどあったので、母親に料理をさせることは危ないと思い、料理経験のほとんどない私が料理を作り置きして、冷蔵庫に保存して食べてもらうようにしました。
 
とはいうものの、あまり上手く作れないので、ケアマネージャーさんに相談して、まずは週1日ヘルパーさんに来てもらって料理をしてもらうことにしましたが、それではやはり私が料理をしなければならないので、週に3日ヘルパーさんに来てもらうことにしました。
 
また、母親がお金がかかるからと週3回行っていたデイサービスを1回に減らしていましたが、ケアマネージャーさんにお願いし、再度週3日にしてもらい、日曜日以外は私が行けなくても、安否確認ができる状況にしました。そういう体制をとりながら私自身は週に4日ほど母親宅に行き、食材の買い出しや身の周りの世話をするようになりましたが、その間に介護認定の見直しも依頼し、要介護2になっていました。
 
そしてこの1年あまりでも、いろいろな出来事がありました。例えば母親はほぼ総入れ歯なんですが、入れ歯を上下とも無くすことがあったり、一人で風呂に入っているときに何かの拍子で湯船の栓を抜いてしまい、湯船から立ち上がれなくなってしまったことなどで、母親宅に行けない日は何が起こるかとヒヤヒヤしていました。ちなみに入れ歯は探しても見つからず、近くの歯医者で新たな入れ歯を作ってもらいました(汗)
 

コロナ罹患で再度入院から老健へ(2023年8月~現在)


そのような状況が続きましたが、今年2023年8月初旬に私が罹ったコロナを母親にうつしてしまい、母親は救急車で病院に運ばれ再度入院することになりました。そこは前回と同じ病院でしたので、またすぐに追い返されるのかなと思っていましたが、さすがにコロナではそのようなことはありませんでした。
 
そして、コロナの治療は順調に進みましたが、今度は血液検査で糖尿病関連の数値がひどい状態だと担当医から連絡があり、コロナの治療後は糖尿病の治療が必要だということで、しばらく入院治療をし、今後のことは病院の相談員と相談してくださいとのことでした。
 
それからほどなく相談員さんに相談に行きましたが、その病院は救急病院なので長期入院はできないため、他の病院に転院するか介護老人保健施設(いわゆる老健)に入所して治療を続ける方向で検討しましょうとのことで、その移転先を探してもらうことになりましたが、介護老人保健施設(老健)というものがあることをその時初めて知りました(汗)
 
その後また3週間ほどした9月半ば頃に、その相談員さんから連絡があり、すぐ入所できる老健が見つかったので、そこに連絡をとってみてくださいとのことだったので、すぐに連絡をとり、その老健に出向き説明を聞きに行ったところ、金額的にも母親の年金の範囲内でいけそうなので、申込みをすることにし、9/27に入居することになりました。
 
その老健に母親が入居し約1ヶ月が立とうとしていますが、終身で老健に預かってもらうことはできないため、今後のことを考え特別養護老人ホーム(特養)への入居申請をしようとしていますが、特養への入居は要介護3であることが必要なので、9/1付けて見直し申請したところ、入院していたこともあり10/12付けですんなり要介護3に認定されました。
 
以上が現在に至る体験記です。
 

体験して知ったこと


最後にこれまでの体験から介護について私が知ったことを以下にまとめて終わりたいと思いますが、詳細の説明は省きますので、興味のあることはネットなどで調べてください。
①    要支援の段階の担当は地域包括支援センターの職員だが、要介護の段階になると民間の介護施設のケアマネージャーになるが、自分と合わない場合は交替してもらえる。
②    ケアマネージャーと相談すれば必要な支援を受けることができるが、こちらの希望をしっかりと伝えることが重要
③    特別養護老人ホーム入居までのつなぎとして、介護保険で賄える介護老人保健施設があり、民間の老人ホームなどよりは費用が少なくて済む。
④    「介護保険負担限度額認定証」を発行してもらうと介護施設利用料が抑えられる。
⑤    「後期高齢者医療限度額・標準負担額減額認定証」を発行してもらうと入院費用が抑えられる。
⑥    介護認定は入院しているときなどが認定度合いが上がりやすい。
などです。
 
以上、長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?