サイクルジョギングの極意

隅田川の川辺から永代橋を望む 

はじめに

 サイクルジョギングとは私が作った言葉である(はず)。「自転車を両手で押して転がしながらジョギングをする」というコンセプトで、荷台付きのママチャリがあればいつでもどこでも実施できる。ただし雨や強風の時はやめておいた方が無難だが。今日は、その極意をお伝えしたいと思う。

 

目次

1.サイクルジョギングを始めたわけ   

2.サイクルジョギングの方法

3.サイクルジョギングのいいところ

4.サイクルジョギングで困ること

5.サイクルジョギングをするための諸注意


                   

1.サイクルジョギングを始めたわけ

 なぜサイクルジョギングをやろうと思ったのか。そもそもサイクルジョギングとは何か。

 私は自宅から勤務先まで自転車に30分乗って通勤をしている。自転車はごくごく普通のママチャリである。

 自転車通勤は好きだ。雨の日に自転車で走っていて歩道のタイルで滑り一度腕を骨折をしたことはあるが、それさえなければ、天気のいい日は冬の寒い朝も、夏の暑くなりそうな朝でも、自転車で走っていて天気がよいと、なんだかいいことが起きそうな気になってくる。電車は速くてよいが、座れなかったら朝からがっくり疲れる。人に揉まれる。現役時代それはさんざん経験した。

 外を自転車で走っていると気持ちがすっきりして、開放感にひたることができる。朝ならまだ交通量が渋滞になるほどではないし、夏なら朝は涼しく風を切って走れる。大勢の信号待ちの人を横目にすーっと車道を行けるのはちょっと気分がいい。もちろんちゃんと自転車用ヘルメットを着用してますよ。コロナのこともあって、混んでいる電車に乗るより気持ちが楽である。走る道をその日の気分で選ぶこともできる。それからなにより、帰宅途中で買い物をしても、買った重い牛乳だの野菜だのを手で持たなくてすむ。これが大きい。

 現役退職後、寄る年波との絡みで血圧が高いので、体重を落とすことを医者から厳命されている。だから少しでも体を動かそうと自転車通勤にしたのだ。それなのに自転車通勤をしても、ちっとも体重が落ちない。
 一説には、自転車で消費されるカロリーと歩いて消費されるカロリーはさほど変わりがないらしい。だから、職場まではさすがに歩いて行けない距離だけど、自転車なら行けるかと思って自転車通勤にしたのに。空しい。それこそ自転車競技の選手みたいにかなりの速力で走るしかないのか。車がひしめく東京の交通事情からそれはちょっと難しいし、さすがに体力的にも全速力では走れない。なので、車や人にぶつからない程度でゆる~く自転車走行していたのである。

 

2.サイクルジョギングの方法

 では、どうやってサイクルジョギングをするのか。

 手軽さとカロリー消費のために自転車通勤を選んだのだが、さほど体重には影響がないことがわかった。これはやはり、普通に体を動かして走るしかない。嫌だけど。

 走るというのは、もちろんランニングやジョギングである。断言するが、私は子どもの頃から走るのが大嫌いで、かけっこで1等になれたことがない。高校の5キロのマラソン大会はうまく理由をつけてサボったこともあった。走るのはつらい、苦しいだけだとずっと思ってきたし、今でもそう思っている。

 私は歩きながらでも自転車に乗りながらでも、きょろきょろと町の様子を見ながら変わったものや面白いものがないかと探すのがとても好きなのだが、走りながら周りの景色を見るなんてとんでもない。走るのに必死でそんな余裕はない。

 しかし私には体重を落とすというミッションがある。ランニングは体重減には効果的なのだろうが、もっと楽な方法はないものか、と思って探してみたらスロージョギングというのを見つけた。

 お読みの方はすでにご存じだと思うが、スロージョギングはジョギングといっても超ゆっくり走るものなのだ。私で言えば、スローというだけあって下手をすると普通に歩いている人よりジョギングのスピードが遅い。後から歩いてきた人に抜かれることはよくある。一緒に走っている人と話ができるくらいゆっくりのペースで走る。だから走っていても苦しくない。その人のペースで走ればよい。

 じゃあ、いつ走る?

隅田川の支流沿いの河津桜 3月初旬で満開!

 日曜日などに走っている人をよく見かけるが、毎日走っている人もいるだろうし、週末しか走れないという人もいるだろう。私は、再就職だが週5でフルタイムが多いので、よし走るぞと覚悟して走るなら週末しかない。でもでも・・・週末には洗濯だの掃除だの、普段できない家事をしなければならないし。週末も無理。

 となると、普段の朝は時間がないから、勤務帰りしか時間の余裕がない。いや、私は、帰ってすぐに家族のご飯の支度をしなければならないんですよ。無理。

 というわけで走る作戦は頓挫しそうになった。しかし、私は考えた。1週間の中で比較的時間が取りやすいのは、幸いにも残業がない仕事なので勤務帰りである。体力面からも時間の面からも、1時間も2時間もなんて走れない。だとしたら、とりあえず20分走ることを目標にやってみたら毎日できるのではないか?チリツモである。

 待てよ。よく考えたら、私は自転車通勤なのである。それを、帰りにスロージョギングするからって電車通勤に変えられるか?否。通勤方法の変更の理由を体重落とすためにスロージョギングするから、なんて絶対書けない。

 ということは、自転車通勤は続ける。帰りは自転車をどこかに置いて、プラス、スロージョギング?無理。

 ここでさらに考えた。仮に電車通勤にすると、帰りは勤務先や駅から重い荷物を持って走るのである。私は両手が空くのでリュックを愛用しているが、これがまた本や筆記用具、水筒や弁当箱など諸々入っていて結構な重さなのである。これ背負って20分も走るのか?無理。

 と、脳内すったもんだの末、自転車を転がしながらスロージョギングしたらどうだろう?と、ぽんと頭に浮かんだ。

 

3.サイクルジョギングのいいところ

 実際やってみた。サイクルジョギング。

 これが私の生活ペースに合っていて、実にいいのである。

 なんと言っても、足の部分はスロージョギングができる。自転車を両手で支えて走るために、本来なら腕を振って走るのだが腕を振れない。そもそもスローなので一生懸命腕を振らなくてもいいのではないか?と考えることにした。

 それから、重いリュックを持たずに自転車の荷台に載せて運ぶことができる。これが楽ちん。肩に食い込む重みがなくなり身軽に走ることができる。

 気が向いたところをゆっくりペースで走ることもできる。あっ、新しく建ったビルだ、とか、いい感じの珈琲屋があるとか。これがいい気分転換になる。途中買い物をしたら、荷台にさらに荷物を載せてしまえばまた走れる。

 何がいいって、まだある。スロージョギングは走った時間の足し算で考えればいいので、10分走るとしたら、例えば5分朝走る、残りの5分を夜走る、と分割してもいいのだそうだ。そしてサイクルジョギングでは、時計を見て自分の決めた20分を走ったら、さっと自転車に乗ってそのまま帰宅することができるのである。万々歳だ。

 もうすでに3年以上は続けている。雨の日も走ったことがあるが、滑りそうで怖いのであまりおすすめしない。それから、当然走れない日が出てくるが、1週間のうちアバウト4,5日走れればよいと思っているので、それもサイクルジョギングを続けられる大きな要因になっている。あまり構えすぎないことだ。

東京タワーと増上寺

 期待の体重も若干○g(3ケタ?)くらいは減った。思ったよりもかなり少ない。それよりも大きいと思ったのは、足に筋肉がついたらしく、ちょっとの寒さでは冷えをあまり感じなくなったことだ。急いで駅に行くのに走っても息が上がらなくなった。この3年、風邪を引いたこともなく健康に過ごせている。こちらの効果の方が大きかったかもしれない。

 人間、いくつになっても体を鍛えることは大切らしい。

 とはいえ、サイクルジョギングは困ることもある。

 

4.サイクルジョギングで困ること

 とにかく、雨に降られるとアウト。サイクルジョギングをしているときに自転車があるから傘をさせない。カッパを持っていればまだいいのだが。強風の時も苦労する。両手で支えていても自転車が風に倒れそうになって持ちこたえるのが大変だった。暗くなると周りが見づらくなりさらに怖い。

 それから、自転車を手で転がしているので、自転車のすぐ脇を走るとペダルをふくらはぎにガツンとぶつけてしまうことがある。これは痛い。サイクルジョギング中は、自転車のタイヤが転がっているのと同時にペダルも回転しているのだ。自転車と自分とのほどよい距離感、これは大切である。また、同じ姿勢で20分走っていると、ハンドルを持っている手がしびれてくることもある。そういうときは、立つ位置を自転車の右や左と変えるようにしている。あとは信号待ちの時に、しびれる方の腕や手を振っておく。 

日比谷公園の梅林から東京ミッドタウン日比谷を望む

5.サイクルジョギングをするための諸注意

 サイクルジョガーは基本、歩道を行く。自転車を手で転がして走っているので歩行者扱いである。歩道が広ければいいが、狭いと進むのが難しくなる。人が多いところも同様。かなり注意して、歩行者と譲り合いながら、かつ、自転車を人にぶつけないように進む必要がある。

 サイクルジョギングをすると、冬でも体が温まる。夏だと汗びっしょりになる。体の中を血流が巡っている感覚は走ってよかったと思う。しかし通勤時に走るのであれば汗をかくので、朝ではなく退勤後を強くおすすめする。走る季節としては、秋から冬そして春先がベストだろう。今はそのベストシーズンの最後のチャンスなのだ。

 そしてもちろん、水分の補給も大切。ジョギングでもそうだが、準備運動も必要かもしれない。あとは、体と相談しながら無理をしないことである。

 これからもサイクルジョギングを楽しんで行い、体を健康に保てたら幸せである。さらに体重が減ってくれれば言うことなしである。


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