週末のBloombergより
◆米長期金利が急騰した後、MIXな雇用統計で大きく反落。10Yは4.04%で越週。FED/格付け/景気/インフレというより、今後急増するサプライによるリプライシングの要素が結構大きい。
◆これまで大口の買い手だったFEDがQTのため、日本がYCC見直しのため米国債の買い手でなくなっており、これらを代替する投資家にはより魅力的利回りが必要。需給バランスは確実に悪化方向。
◆但しQTについてはFEDもそのインパクトをつかみ切れていない。QTを変に加速して金融システムに余計なストレスを掛けたり、マクロ経済の不透明要素を増やしたりまではしないと思われる。
◆長期債ショートはカーブのインバート状況下ではポジティブキャリーでもあり、30年債ショートを公言する大手も出てきている。
◆無理せず短期債の5%をエンジョイし続けるのでも十分良さそうに見える。短期債も今後サプライが急増するが、何ら問題なく吸収できそうな感触。
◆8/10(木)発表のCPIは、前月比が+0.2%と落ち着いていても、前年比が3.0%⇒3.3%と急騰して見えそうなことも一応要警戒。
◆9月FOMCでの0.25%利上げが1割ほどしか織り込まれていないが、経済全般や企業業績の底堅さを考えると、利上げリスクを過小評価している可能性あり。
◆FEDに利下げは来るにしても来年Q2以降。インフレ低下に伴う実質金利の上昇を微調整する範囲内にとどまるはずで、通常のサイクルのような、景気テコ入れのための急速・大幅な緩和を今回は期待すべきでない。
◆IG119bp/HY388bpのクレジットスプレッドは、これから増えそうなデフォルトやサプライ対比でややタイト過ぎる印象。個別銘柄選択やストラクチャーの慎重な選択で凌いでいく必要ありそう。
◆米銀行融資が急減しているが、昔と違ってプライベートクレジット(推定残高1.5兆ドル超で、HYやレバローンのインデックス規模を上回る)がこの穴を埋めに来るので過度の悲観は禁物。
<今回はアスペン特集(中長期的ビッグイシュー中心の議論)>
◆AIによる雇用市場の構造変化(雇用代替/生産性向上/労働負荷軽減など)は、アーリーアダプター中心に既に始まっている可能性あるが、マクロインパクトの見極めは、まだコロナ後の正常化プロセス途上なので困難。
◆雇用統計は市場を揺るがすような内容ではなかったが、月+187千人ペースの雇用創出は、月50~100千ペースの労働供給に比べるとまだまだ明らかにタイトであり、2%目標の達成に向けたインフレ抑制には不十分と見るべき。足元のインフレ基調は年+3.5%ペースと高い。
◆米国債の利払い/償還の確実性には何ら変化なく、フィッチの格下げは市場後追い/何ら付加価値を生んでいない。
◆但し米財政が悪化方向にあり、レジリエンスが問われていることは確か。安易なポピュリズムに流されてはいけない。アスペンはまさにそのために議論し、正しい方向に政治的合意形成を進めるためにある。
◆幸い、米経済は十分レジリエントであり、財政のレジリエンスに対応するための時間と資源を持ち合わせている。
◆米国は今、脱炭素や半導体で日本のMITIのような産業政策を推進しようとしているが、不公平な補助金競争となっている面もあり、友好国との軋轢を生んでいる。
◆短期的視点で工場を誘致するだけでは効果は乏しい。長期的視点から、先端技術の研究開発誘致やデジタル時代に適応する教育の高度化にもっとウェートを置く必要がある。
◆賃金はあくまで遅行指標。今まだ高くても経営トップは将来に向けて賃金を抑えようとしている。また、賃金が高くても生産性が高ければインフレは押し上げない。
◆生産性の向上のカギは、自動化投資と(スキルとモチベを上げる)従業員への投資ではないか。
◆賃金よりはCPIなどインフレそのもの(含押し上げ要因のすそ野の広がり、インフレ期待)を見るべき。
◆ふつうは製造業が景気サイクルを先導するが、コロナで先にサービスがやられてその後復活する流れの中で、すっかり狂ってしまった
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?