マガジンのカバー画像

あのときの書評

14
過去に書いた書評を順次アップしていきます。
運営しているクリエイター

2016年2月の記事一覧

赤瀬川原平『背水の陣』

赤瀬川原平『背水の陣』

※過去に書いた書評を順次アップしていきます。

2003年8月

身の回りのことから環境問題を考える
超自然体の“ゲンペイ流環境論” タイトルを見ただけでは何だかわからないが、環境問題について書かれた本である。といっても、声高に環境保護を叫んだり、しかつめらしく啓蒙を垂れるような類のものではない。

「ぼくのような人間までもが、環境問題を考えなければならなくなった」――そんな書き出しに象徴されるよ

もっとみる
建築という行為を一味違った視点から見てみると……

建築という行為を一味違った視点から見てみると……

※過去に書いた書評を順次アップしていきます。

2006年6月

 人生で一番大きな買い物といえば、やはり家だろう。限られた予算のなかで、いかに理想に近い住まいを手に入れるか。誰しも頭を悩ませるところである。

 夫は普通のサラリーマン、妻はフリーライターという、とある夫婦の場合もそう。さまざまな物件を2年近く見て歩き、たどり着いた結論が〈築25年の中古住宅をリノベーションする〉というものだった。

もっとみる
日本の童貞

日本の童貞

※過去に書いた書評を順次アップしていきます。

2003年7月

日本社会における「童貞観」の変遷を女性の目からクールに分析した労作

 とりあえずタイトルだけでつい買ってしまったこの本。戦前から現在に至るまでのセックス・リサーチや雑誌記事などに表れた「童貞」に関する言説を抽出し、社会における「童貞観」の変遷を分析したものだが、とにかくよくぞこれだけの資料を調べたと感心してしまう労作である。笑った

もっとみる
昭和の“元少年”を刺激する野球と科学への斬新な視線

昭和の“元少年”を刺激する野球と科学への斬新な視線

※過去に書いた書評を順次アップしていきます。

2006年5月

 ドイツW杯開幕まであとわずか。が、昭和の時代に生まれ育った人間にとってスポーツといえば、何をおいてもまず野球である。本稿執筆時点で、セ・リーグは巨人がトップを快走しており、阪神ファンの私としては夜も眠れぬ日々であるが、実はこの巨人の躍進を予見していた人物がいる。スポーツライターの小関順二氏。著書『野球力』のなかで同氏が巨人再建案と

もっとみる