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日本の子ども家庭福祉へのソーシャルワークの貢献を高めるために:ソーシャルワーク教育と実践の課題

子ども家庭福祉士資格と社会福祉士、精神保健福祉士資格等の関係性についての議論は、

焼け野原にとりあえずバラックの家を何としても建てるか。
焼け野原に無理だと言われてもきちんとした家を建てるか。
焼け野原のガラクタを何とか整理してその上に家を載せるように建てるか。

の三択。その家に住みたい人たちがそれぞれの意見を述べているようです。

2002年『社会で子どもを育てる』(平凡社)において、私は、トロント大学マリオン・ボーゴ氏の「日本の子ども家庭福祉へのソーシャルワークの貢献を高めるために:ソーシャルワーク教育と実践の課題」(抄訳)を巻末資料として掲載しました。子ども家庭総合研究所の依頼で執筆されたマリオンの提言が、翻訳されずに数年以上放置されていたため、抄訳してこの本に載せたはものの、実現は夢のまた夢、はるか彼方と思っていました。それが、今回、子ども家庭福祉士という形でお目見えした、と考えていいのでしょうか。20数年の月日を経て、今だからこそ、(残念ながら日本においては)

「まだ新しい」マリオンのこの提言を読み直してほしいと思います
(中古で1円。手に入ります)。



第六章の中の一ページです。前後には具体的な方策が書かれています。

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途中、飛ばします。

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また、一頁だけご紹介しましたが、第六章 これからの子育て環境づくり 第二節 社会的レベルでの取り組みでは、子ども家庭福祉の方向性についての具体的な提言を行いました。目次は以下の通りです。
(1)草の根活動をする親たちのエンパワメント
(2)専門家の再トレーニング
   日本の現任者トレーニング/特定プログラムに関するトレーニング
   総合的な再トレーニング/トロント大学におけるトレーニング
  「ソーシャルワーク実践のコンペテンシーに関する実習評価項目」
(3)子育て支援のできるソーシャルワーカーの養成

当時、子育て支援に関わっていなかった年代の方や、他の専門職の方たち(当時はまだ子育て支援に専門職の関与がなかったのです)は、この内容をご存じないかもしれません。
今、何が必要なのか、何が問題なのかの参考になればと思って、引っ張り出して、ここに書いておきます。なぜなら、今まだ、当時の問題は全く解決されていないからです。当時は提案には早すぎたのです。どなたかの目に留まりますように。子ども家庭福祉が、もう一度、ここに帰ってきてもらえたらと願います。これからの子ども家庭福祉のお役に立てば幸いです。
(スキャンがきれいにできていないのですが、貼り付けます)


ちなみに、現在、マリオン・ボーゴ著「Social Work Practice」改訂版の翻訳に取り掛かっていて、今年度中に、どんなに遅くとも来年度中には明石書店から出版されます。世界でも最も進んでいるソーシャルワーカー養成のテキストです。日本のソーシャルワークの発展に寄与することを願っています。

#子ども家庭福祉士 #社会福祉士 #国家資格 #マリオン・ボーゴ
#社会で子どもを育てる #平凡社新書 #子ども家庭支援

付記)わたしと子ども家庭福祉

私は、子どもの養育環境を整えて、マルトリートメント状態を変えるためには、ソーシャルワークが必要だと思い、『実践コミュニティワーク』(理論編とエクササイズ編)(学文社)、『ダイレクト・ソーシャルワーク ハンドブック』(明石書店)の3冊の翻訳書を刊行してきました。それらに基づく研修も行っています。
2001-2002年に『社会で子どもを育てる』を書き、それまでの学生相談活動中心の生活から、子育て支援活動中心の生活に変わったのは、2003年からの3年間。その後、2006年からは、大学の業務上の都合もあって、後ろ髪引かれながら教師教育に焦点を移しました。子育て支援のコーディネーターの養成という提案は、形を変えてではありましたが、他の方たちが実現に尽力して下さいました。
でも、子ども家庭支援には十分にかかわってくることができませんでした。その間も問題は山積、今回のやり取りを見ていると、課題の整理がなされていないようです。賛否両論行きかっています。少しでもお役に立てますように。






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