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挑戦する人にもっと機会を〜働き方の多様性 【週刊新陽 #90】

2022年もまもなく終わりますね。皆さま、今年はどんな1年でしたか。

私はずいぶんあっという間に過ぎてしまった感じです。ちょっともったいないような気もしますが、かなり充実していたという証拠かな、とも思っています。先生や生徒たちと一緒に色々なことに挑戦した1年でした!

さて今年最後の『週刊新陽』は、12月23日(金)冬休み前最後の登校日に行われたオンライン全校集会の『多様性対談』をレポートします。

新たな働き方「複業」

ゲストは株式会社Another works代表取締役・大林尚朝(おおばやし なおとも)さん。

Another worksと新陽高校は、今年3月に連携協定を締結し、Another worksが提供するSaaS型複業マッチングプラットフォーム『複業クラウド』を使ってプロボノ(※)人材を募集。(その時のリリースはこちら

(※)プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。

引用元)認定NPO法人 サービスグラント

これは、Another worksのプロジェクト『複業クラウド for Academy』の一環で、さまざまなスキルや経験を持った人材が複業として学校の教職員と共に学校の課題解決に取り組み教育改革の実現を目指す、というもの。

新陽では、学校パンフレットのデザイナーやキャリアガイダンスで講演してくださる方などを募集したところ、全国から(海外からも!)たくさんの応募がありました。

今回『複業クラウド』を立ち上げた大林さんから働き方の多様性をテーマに色々とお話を伺いました。

大林さんは九州・大分県出身の現在30歳。早稲田大学で法律を勉強した後、26歳で起業。働き方や雇用のあり方にも多様性が必要とされている今の時代に、複業という新しい働き方を当たり前にし、全国に広めるというビジョンを持っています。

ちなみに、学生の時から「26歳で起業しよう!」と決めていたそう。

歴史を学ぶのが好きだった、という大林さん。「学生時代でも働いていても不安なことがいっぱいある。そうやって未来に不安を感じるのは経験したことがないから。自分の経験でなくても昔の偉人が成したことは参考になる。」と歴史を勉強しました。

特に吉田松陰が好きで、幕末という大きく社会が変化した時代に自ら変革を起こそうと吉田松陰が動いたのが26歳の時だったので、自分も働き方に維新を起こすなら26歳で行動すると決めていたのだそうです。

5年後なんて分からない、ならば・・・

大分で会社経営をしている父親の影響は強く、いつか起業したいと思っていた大林さん。

でも高校時代は将来に漠然とした不安を抱えていたそうです。心配性で、何をやっても満たされないまま、とにかく早稲田大学の法学部で法律を勉強したいと思って、不安から目を逸らして3年間過ごしました。

大学に入ってからの4年間は東京での生活を満喫。学びたいことは何でも学べて、会いたい人に会えて、起業だって出来る。自分は何を心配していたんだろうと思ったとか。

同時に、経営者であるお父様の話を聞いても、大学で労働法を学んでも、正社員にこだわり続ける時代ではなくなるのだろうな、複業という自由な働き方はブームになるだろうな、という感覚が強くなっていったそうです。

ここで、大林さんが語ってくださったこの日生徒たちに一番伝えたかったこと

「皆さんが働くときの未来。例えば高校を卒業して大学を出て、5年後くらいだとします。5年後の社会がどうなっているか分かる人なんていない。

ビジネスの世界では、過去まったく例を見ないスピードで変化や進歩が起きています。特に東京では、自動運転や店員がいなくても買い物ができるストアなど未来の話と思っていたことが既にあるんです。インターネットの普及とスマートフォンの普及によって、日常生活が圧倒的に変わりました。

2020年の新型コロナも誰も予測できなかった。この先も災害やパンデミックなど、何が起きるかわからないし、何が起きてもおかしくない。

だから、将来何が起きるか分からないのに、それを憂う必要なんて全くないんです!」

複業で広がる挑戦の選択肢

一方で変わらないもの、予測できていることもあると大林さんが教えてくれたのが労働市場。少子高齢化が進むことは間違いなく、中でも日本は少子高齢化の課題先進国として注目されています。だからこそ、起業家として日本の雇用を変えていくことにビジネスのダイナミックさを感じるのだそうです。

2019年、コロナ前に創業したAnother works。副収入の『副』業ではなく、複数の仕事、複数の居場所、複数の働く目的を持ってほしいという想いで『複』業クラウドというサービスを作りました。

人材紹介会社に探してもらうのではなく、企業(仕事)と人材(スキル)の出会いの場。フリーランスの人もいるし、企業に勤めながら第2・第3の働く場を探している人もいて、現在登録している数なんと5万人!利用は無料です。

お金を払うのは人材を探している企業側で、こちらは月定額つまりサブスク。複業マッチングプラットフォームという日本で初めてのサービスです。

私が特に興味深いと思ったのは、働き方の多様化を実現する複業の奥にある可能性でした。

「幸せに生きるために、働く目的はお金(金銭報酬)だけじゃない。」と言い切る大林さん。それが感情報酬です。

例えば、地元のために何かしたい、誰かの役に立ちたい、という気持ちが仕事を通して満たされ、幸せを感じることができる。そういう感情は時として金銭での報酬より大切なことがあります。

その究極がプロボノ。実際、新陽で募集した際にも手応えを感じましたし、民間人材の力を借りたいという地方自治体からのプロボノ募集には多数のエントリーがあるそうです。

やりがいを感じたり想いに共感したりして仕事を選ぶことが、退職や転職をしない複業だからこそ挑戦しやすくなる、というのには納得でした。

最後に大林さんからもう一度、生徒たちへメッセージをいただきました。

「漠然とした不安を抱えていた高校時代の自分に何を伝えたいかな、と思いながら話させてもらいました。皆さんも言語化できないモヤモヤを持っているかもしれません。

でも、さっきも言った通り未来を憂いても仕方ない。それよりも今できることに挑戦してみてください。高校時代に戻れるなら戻りたいと思うくらい、若さというエネルギーはそれだけでプラチナチケットです。

新陽高校のスローガンにもある『挑戦』という言葉は、これからの時代のキーワードだと思います。挑戦とは、理想や夢を掲げ、理想と今との差分を理解して、それを埋めるために覚悟を決めて努力すること。とてもシンプルです。

もし到達点と現在地を見定めるのに助けが必要なら、きっと校長やまわりの先生方がサポートしてくれるはず。そしてもし起業について悩んだら、いつでも僕に連絡ください。」

連携協定後、夏にはオフィスにお邪魔しました!

【編集後記】
対談の中で、働き方の多様化はチームメンバーの多様化にも直結する、という話も出ました。
「多様性のあるチームは創造性が高いと言われるなど良いことも多い一方で、異なる文化や価値観の人たちが一緒に働く難しさがあると思うのですが・・・」と聞くと、「めちゃくちゃ難しいですね。たぶん企業によって様々で、正解はない。Another worksは現在50名程の会社ですが、同じ目的に向けて一緒に頑張れるメンバーを採用時点で集めているので、多様なメンバーでも上手くいきやすいと思います。それでも時には折り合わないことがあるので、やっぱり会話は大切ですね。」と。
スタートアップ企業なのでドライかと思いきや、対面で話し合うことを大事にしているため週4日はオフィスに来ようと決めていたり、チャットだけでコミュニケーションを終わらせないようにしていたりするのだそうです。「ただ会話するのではなく、なぜこの会社に入ったのか、なにが強みなのかなど、お互いを知り、顔を見て肉声で話し合う。」と話してくださった大林さん。多様性を活かすため対話を大事にすることは、どの組織でも共通しているのだな、と思いました。

複業クラウドのプロボノデザイナーさんに
制作に加わっていただいた「SHINYO D&I BOOK」
デジタルパンフのデータはこちら
出来立てホヤホヤのパンフレットを見て盛り上がる
制作に関わった生徒と先生たち(今年8月)

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