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幸せでいるために「本気で挑戦」することはとても大切〜ビリギャル・さやかさん講演会 【週刊新陽 #174】

夏休みが明けてすぐの8月26日(月)、新陽高校に「ビリギャル」本人のさやかさんが来てくれました!

さやかさんのプロフィール:1988年名古屋市生まれ。高校2年の時に出会った恩師・坪田信貴氏の著書『学年ビリのギャルが 1 年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の主人公。慶應大卒業後、ウェディングプランナーとして勤務した後、“ビリギャル本人”としての講演や執筆活動などを展開するため独立。2019年4月、聖心女子大学大学院へ進学、2021年3月修了。2022年9月より米国コロンビア大学教育大学院の認知科学プログラムに留学。2024年5月修了。
著書に『ビリギャルが、またビリになった日〜勉強が大嫌いだった私が、34歳で米国名門大学院に行くまで』(講談社)、『キラッキラの君になるために〜ビリギャル真実の物語』(マガジンハウス)がある。

実は、さやかさんは、2018 年の春から4ヶ月間、新陽でインターンをしていました!

「生徒でも先生でもない立場で教育現場を見てみたい」と、生徒と一緒に授業を受けたり、教壇に立ったり、教師たちと日々教育について議論を交わしたり。当時、さやかさんに影響を受けた新陽の生徒や先生も少なくありません。

その後、聖心女子大学大学院、さらにコロンビア大学教育大学院へ進んださやかさん。アメリカで学んだ認知科学を元に教育メソッドをまとめた書籍『私はこうして勉強にハマった』を7月に発刊し、各地でトークショーなどをされていますが、実は帰国後、高校生への講演は初めてとのこと。

というわけで、生徒と保護者に向けて「どうすれば勉強にハマれるのか?」語っていただきました!

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モチベーションの上げ方知ってる?

冒頭、「最近『私はこうして勉強にハマった』っていう本を書いたのだけど、実はそんなに勉強にはハマってなくて(笑)。いまだに勉強は好きじゃないです。」と話し始めたさやかさん。

勉強も学校も好きではなくて、授業も分からないし本も読めない、そういう生徒だった「ビリギャル」が、坪田先生に出会って1日15時間くらい勉強するようになって、慶應SFCに受かった。その話を聞くと多くの人が「もともと頭良かったんでしょ」と言う。そのことに、ずっとモヤモヤしていたと言います。

「なぜ昔の自分があんなに頑張れたのか」を科学的に理解して説明できるようになりたくて、大学院へ進んで認知科学を学びました。そして、あんな自分でも受験を突破したやり方がある、とまとめたのが今回の本だそうです。

勉強だけでなく、部活でも音楽でもスポーツでも何でもいい、新陽の「本気で挑戦する人の母校」というスローガンの如く「何か頑張りたい!」という時どうすればいいか教えるね、とトークが始まりました。

「みんな、何を悩んでるんだろうって考えてたんだけど・・・モチベーションが上がらないんじゃない?

勉強も部活も、将来仕事に就いたあとだって、何かに取り組んだり何かを続けるにはモチベーションが大事。「だからモチベーションの正体を知っておいてほしい!」と、さやかさん。

まずはじめに、「幸せ」には2種類ある、と。

Hedonic Well-being(感情として「幸せ」な状態。慣れてしまうので長続きしない)とEudimonic Well-being(達成感や成長したと感じられる幸福感。自信や強さにつながるので長期的な「幸せ」に繋がる)。つまり、短期的な幸せである楽(ラク)な状態にとどまらず、本当の意味での幸せになるには、目標を持って頑張ってみるという経験が必ず必要。

「幸せ」と「自己成長」や「挑戦」は切っても切り離せない関係にあるからこそ、モチベーションの正体を知り、自分で上げたり継続したりできるほうがいい。そう言って、さまざまなエピソードや例え話を交えながら、「がんばり方」を教えてくれました。

以下、さやかさんの講演の要点です。詳しくは、ぜひ本を読んでください!

  • モチベーションの正体とは

  • 「それならがんばったらできそう(期待値)」と「それならがんばってやりたい(価値)」

  • 価値(WANT)は不純な動機でぜんぜんOK

  • 「自信」も2種類ある:自己効力感と自己肯定感

  • 自己効力感の上げ方、4つ

  • 「成功体験」が特に重要!

  • 失敗とは?リスクとは?挑戦しないほうが実はリスク

最後の、挑戦と失敗の話は、生徒と一緒に聞いている大人たちがドキッとする話でした。

日本人は、失敗するのを怖がる傾向が強い。何かを挑戦しようとすると「そんなの無理。やめておけ。」と言う大人がいる。でも、大事なのは成功するか失敗するかではなく、挑戦するかしないか。挑戦したほうが必ず成長する。だから、長期的に見れば挑戦しないほうがリスクだということ、みんな分かる?と。

さやかさんから生徒たちへのアドバイスは、「失敗させてもらえる大人の近くにいなさい」。

そして、「新陽高校はそういう環境なんだけど、これって実はみんなが思っているより珍しいこと。5年後、10年後に、恵まれてたって気付いてくれたら嬉しい。」とも言ってくれました。

終わりに、「日本はまだまだ結果を重視する社会で、挑戦しづらい文化。でも、この文化はこれから少しずつ変わっていくんじゃないかな、と思うし、私も変えるために行動していく!だからみんなも失敗を恐れずに挑戦する姿を、さらに若い子たちに見せていってください!」と強いメッセージをくれたさやかさん。

さやかさんの人生のテーマは、ビリギャルになった時から今まで、そしてこれからも「子どもたちが生きたいように生きられる世界をつくる!」。その想いが詰まった熱い講演に、生徒たちも引き込まれたようでした。

おしえて、さやかさん!

さやかさんのプレゼンの後、生徒たちからの質問に答えていただきました。

Q. やりたいことがたくさんありすぎて時間が足りません。さやかさんならどうしますか?(事前にフォームで集めた質問より)

A. 1日24時間、使える時間や自分のキャパシティは限られている。それなのにいっぱい抱えすぎなんじゃないかな。人は持っているものを手放すのが苦手。でも、新しいことを挑戦するには今持っているものを捨てないといけないことがある。一番ワクワクしていないな、と思うものを思い切って手放してみては?そして残されたものに力を集中したら、もっとパフォーマンスが上がると思う。私ならそうします!

Q. 挑戦すると新しいコミュニティに入ることになると思うのですが、新しい関係性への不安があります。さやかさんはワクワクの方が大きいですか?(3年生)

A. 一つのところにじっとしているのが苦手なので、属するコミュニティは定期的に変わるタイプ。私は常にワクワクしている気がする。
新しい関係性が築けるか不安がないわけではないけど、それをプロジェクト化して乗り越えているかも・・・コロンビア大学でも「今日はぜったいあの子に話しかける!」などと目標を決めて、友達を作ってました。環境は結局「人」だから、私はなるべく早めに仲良くなれる子を作ることにしてる。

Q. 自分はコミュ障だと思ってて、、、自信がありません。自分の中で妄想してしまって、人から突き放されるのが怖いです。どうやったら人を好きになれますか?(2年生)

A. まず、あなたはコミュ障じゃないから心配しないで。コミュ障の人は、こんな大勢の前で質問したりできないです!
でね、もしかすると自己肯定感、自己効力感が低いのかもしれない。さっき同じ分野での成功体験が大事って話をしたの覚えてる?だから、対人関係での成功体験、たとえば、この子と話して楽しかったとか、そういうのを一つずつ積み上げていったら良いと思う。ちょっと怖いかもしれないけど、不安なのは自分だけじゃないから、失敗してもいいや!くらいの気持ちで。大丈夫、自信持ってやってみて!

Q. モチベーションに関係なくやらなければいけないこと、たとえば宿題などを先延ばしにしてしまう癖があって困っています。自分のモチベーションが上がらないものへの対策方法はありますか?(1年生)

A. 大学は行きたい?(→行きたい。)受験方法は?(→未定。)海外への進学もあり得る?(→あり得る。)
じゃあ、学校の成績はめちゃくちゃ大事。海外大学に行こうと一瞬でも思うなら、学校の内申点が影響するから課題でもミニテストでもちゃんとやっておいたほうがいい。日本の大学の推薦受験でも同じ。そうやって、人生を長期的に見て、やる意義を見出すことが一つ。
それから、どうやってやるかというと、目標の細分化。宿題を終わらせるためのプロセスを細かく分けてみる。難しすぎない小さな目標を立てて、すこしずつ成功体験を積み上げていくのがコツです。

Q. 予定のない休日などを無駄にしてしまうことが多い。さやかさんは、どうやって時間を有効活用していますか?(3年生)

A. そう考えている時点でえらい!私なんて1日中なにもしないで寝っ転がってたりする。もしかして、みんな私のこと「努力の天才」か何かだと思ってない?そんなことはありません(笑)
日本だと「頑張る」とか「努力する」って、「耐え忍ぶ」みたいなイメージがあるけど、それは違う。「努力する」とは、やりたいことに向かって目標を立てて、今できないことをできるようになるために行動すること。
無理やり頑張ったり、ずっと走ってなくていいんです。友達と楽しんだり、だらだら過ごしたりしたっていい。でももし、これはやりたいな、ということが見えたら、モチベーションの正体の法則を思い出して頑張ってみて!

最後はさやかさんの本をかけて、全生徒で
じゃんけん大会。盛り上がりました!

さっそくモチベが上がった!?

新刊の販売&サイン会では、保護者の方や生徒が列をつくり、講演や本の感想を伝えたり、メッセージを書いてもらったり、中には悩み相談をする生徒も。

講演会が終わって休む間もなくサイン会の席についたさやかさんですが、疲れも見せず一人ひとり本当に丁寧に接してくださっていました。

さらにサイン会後、個別にさやかさんに話を聞いてもらいたいという生徒が数名残っていたのですが、どの子にも親身になって答えてくれました。気さくでハッキリ言ってくれるのもさやかさんの良いところで、相談させてもらった生徒がみんな、顔が上がり、充実した表情で帰っていったのが印象的です。

NHK北海道放送局の取材で2年生がインタビューを受け、教育系の大学を目指したいもののつい先日まで「自信がないから無理」と言っていた生徒が「学校の先生になりたくて、すごく勇気をもらいました!」と答えたり、将来に向けていろいろ考えている生徒が「さやかさんの講演を聞いたこと自体がモチベーションになったのでよかった」と言ったりしていました。

さやかさんとの出会いが、多くの生徒のモチベーションを上げてくれたようです。

さやかさん、第二の母校・新陽高校での凱旋講演、本当にありがとうございました!

【編集後記】
諸々の業務でサイン会に間に合わなかった先生たちが、帰り支度をしているさやかさんのところに続々とやってきて「本買いたい!サインもお願い!」と。特に、6年前さやかさんがインターンしていた時期にいた先生たちは久しぶりの再会とさやかさんの成長にとても嬉しそうでした。
私もちゃっかりしっかり(笑)、サインとメッセージをいただきました。「教育とは憧れだ!」という言葉を力に、ますます頑張りたいと思います!

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