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The End of the World  那須正幹


四話からなる短編集 1984年以前の作品
ずっこけシリーズが有名な那須さんだが、図書館でこの本が納められている書架は、大人用のコーナーだった。

核シェルターで生き残った少年が、唯一 無線でつながった少女に会いに行こうとする話が表題作である。

会いに行くところで終わってしまうのが物悲しい。

カーステレオが、カセットであることに時代を感じる。
その曲を 改めてユーチューブでカーペンターズの歌で聞いてみた。
あちこちに動かなくなった車のある道路を
どこまでも走りながら流れるのがこの曲なのだ。


全滅するほどの核戦争と言われて思い出してしまうのは、「火の鳥」な私。
あと「ターミネーター4」とか
「渚にて」も読んだし、「風が吹くとき」 も観たのだけれど。なんでだろう。


「まぼろしの街」では、無くなったはずの街になぜかたどり着き、泣いている自分を連れ帰る。
近年「心の中で泣いている自分を抱きしめてあげて」みたいな描写をよく見るし、
ハリーポッターでも、またすずめの戸締りでも
自分を助ける描写が出てくるのはもはや普遍化したのかしらと、つい思う。


「天は自ら助るものを助く」ということと、
ちょっとニュアンスが違うんだろうと思うのだけれど
上手く言葉にはならず。


四編のどれも、すっきりハッピーエンドではないところも、「大人用」である所以か。


空は灰色だったそうだ

世界終末時計は、残り90秒になったそうだ。

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