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白い靴

白い靴を買ったことがある。
ウェディングドレスに合わせた少し光沢のある7センチヒール。
イヤリングのようにつけ外しができるパールの飾りがついていた。

一度しか履かなかったかもしれない

ドレスは母の友人に依頼した。デザイナーになりたかった人。
レースを探しに買い物したのも良い思い出だ。


結婚したかったのではなく、結婚式がしたかったのかもしれない。
お祝いされたかった。
「その人」に惚れ込んだのではなく、子どもが欲しかった。


作ってもらったウェディングドレスは、妹も着た。
それから、妹の教え子も着たという。
役目は十分果たしたと思う。

靴の方も
演劇の衣装の一部として貸し出したこともあるが
その後処分した。ヒールの靴はもう履けない。


自分のウェディングドレスの横顔の写真を捨てずにいる。
何か、記念らしきものではある。







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