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デ・キリコ展


デ・キリコは、ギリシャ生まれだった。
父親の仕事の関係であちこちで暮らしたみたいだけれど
たいがい世界遺産に囲まれていたのだと思うとうらやましい。
そして、なんとなくギリシャ由来のものがテーマになっているのも納得がいく。
「ヘクトルトアンドロマケ」とか哲学者とか考古学者とか、
彼の日常の中に自然に入ってくるような環境で育ったのかな となんとなく感じた。

アンドロマケはトロイア戦争で夫ヘクトルを殺されたそうだ。
そういう戦争などに振り回される悲劇の人間について耳にしながら
アリストテレスのゆかりの地 とか発掘している考古学者とかを眼にしていたんじゃないだろうか。

彼の書く考古学者は、上半身に遺跡のあれこれが詰まっているのだ。


私が買った絵葉書は、上の4枚

山上への行列 1910年

一番惹かれたのは実はこの絵だった。
お葬式ではなくて、宗教上の習慣でこういう服装の人たちがいたような気がする。
山上には教会があるのだろう。
自他の死を飲み込みながら 真面目に信仰しながら生きている人たち。

瞑想する人 1971年

キリコの描く人は、なんか足が短いのである。
なんとなくバランスが悪い。
この瞑想する人は、詩を作りたい感じ。


マヌカンも、よく見ていると表情はあったし
家具が置かれる風景も、「空からクルージング」などに
出て来そうな、なんというか、画家にとっては身近なものだったのかな
と思った。
三角定規とS字フックみたいなものがあちこちに出てくる理由は
ちょっと知りたい。

90歳まで生きた人である。二度の戦争を経験した。


今回、私にしては珍しく、ノートにメモを取っていたら
鉛筆にしてください と鉛筆を貸してくれたのだが。
自分は薄暗いと鉛筆の字は見づらい年齢であることを知ってしまった。
なぜボールペンがいけないのか知りたいところである。

テーマ別の展示も、自画像などは年代が飛んでいても納得するのだけれど、長生きした人なので、隣の絵が30年後の絵とか言われると
ちょっと混乱してしまうこともあった。



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