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産直市場に野菜を出すことについて

私の育てているお野菜は、基本的に個人宅へ定期宅配している。
当然ながら宅配のタイミングに合わなかったお野菜や、たくさんできるお野菜もある。

そういったお野菜は、別でパッケージ(じゃがいも5種セットなど)を作って販売することもあるが、
細々したものは、産直市場へ出荷している。

正直なところ、産直市場へ出荷することには抵抗がある。
特になんのこだわりもなく、環境負荷も何も考えていないお野菜と一緒に並べないといけないからだ。
さらに出荷者の多くが低価格競争を後先考えずに行っているので、真っ当な価格を設定することが難しい。

シール等で多少の差別化は可能だが、そもそもお客さんの感覚が宅配のお客さんと異なるので、そこで本来の表現はできない。おそらく、独特な言葉遣いもすっとは伝わらない。ただ消費してもらうだけにとどまり、なんら社会にアプローチすることが出来ない。

だから、抵抗がある。

一方で、産直市場とは、存在としては重要であるし、特別な可能性があると考えている。
地域のお野菜がほっといても集まってくるというのはすごいことだし、
そこに多くの来客が定着していることもすごいことだからだ。
さらに、私が出しているところは加工場を持っているので、お弁当を作ったりもできる。これはつまり、野菜くずを出汁化したり、有機肥料化する過程にも組み込みやすい環境なのだ。

また、80歳まで収入を得続ける手段の一つにもなりうる。福祉的な側面も持っている。

とはいえ、この可能性は潰れつつあると感じている。
一番の理由は、低価格競争を行っている点にある。
ある農家さんは「ここは100均やけんね」と自虐的に笑っていた。

笑い事ではない。

こだわった野菜が真っ当な価格で販売できないのなら、
良い野菜は集まらないし、特に考えを持って栽培している若者が定着しない。
そうすると当然尻すぼみとなる。

これは今後のためになんとかしないと行けないと感じている。

したがって私はここ数年、勝手に産直市場単価アップキャンペーンを個人的に行っている。

これはすごくシンプルで、他の農家さんの野菜よりも50円〜100円高く値付けをして出すのだ。
産直のスタッフは「えらく強気な値付けだな」「やっぱり売れ残った」程度に思っているかもしれない。
実はそんなことよりも重要な役割を狙っている。

例えば、4月のグリンピースだ。

私は自然に即して育てているので、他の農家より遅れて出すことが多いのだが、
私が出す頃には、グリンピースが1袋200円〜250円で販売されていた。

そこへ私は、1袋400円のグリンピースを投じたのだ。
当然高いので、私のお野菜が売れ残る場合もある。(農薬を使ってないのでそれがわかるようにしている、という付加価値はあるから売れないことはない)

数日それを続けると、1袋200円〜250円だった他のグリンピースが、
300円程度にまで値上げされていた。大成功である。

一袋100円アップだ。それでも基本的に売れる数は変わらない。
お客さんは、安さを求めているわけではないからだ。

このささやかな単価アップが、平均で1袋50円起こったとする。
月に色々1000袋出していたら、何も変えてないのに月50000円の増収だ。

年間では60万円。

これが本当に起こっていれば、産直市場に野菜を出すだけで200万以上の売上をあげらているはずだ。

ここまで来れば産直市場の次のステージが見えてくるような気がしている。

まずは、野菜の要衝と胸を張れるだろう。100均ではいけない。

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