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組織の弱体化につながる360度評価

部下が上司を評価する360度評価制度。部下からのフィードバックを得て、上司はリーダーシップスキルを磨くことが期待されています。響きだは良いです。しかし、組織の成熟度を考慮して、導入すべき施策です。未成熟な組織が、闇雲にこれを導入すれば、上司が部下に「サービスする」ことにもなりかねません。結果として、組織が弱体化することになります。

欧米の組織と異なり、日本の組織では常に「情」が絡み合います。部下は上司に不必要に気配りし、上司も部下に対して情けをかけているそぶりをして自己満足に浸っている。各論に入りすぎて視野狭窄に陥らないように、歴史を振り返ってみましょう。

三国同盟の東條英機、ヒットラー、ムッソリーニ、は独裁者として一括りにされています。しかし、東條英機は独、伊の独裁者とは明らかに異なります。東條はむしろ陸軍統制派の頂点に立ちつつも、陸軍皇道派に対して「サービス」をしていた存在と見るべきでしょう。戦争遂行を理詰めで正当化し、統制派、皇道派の両派をリードするのではなく、情を絡めて「サービス」することで、独裁者としての地位を保全したのです。

「情」が絡み合う日本の組織では、その長はこうした「サービス」によって異なる意見を表面的に調整し、自らの立場を守ろうとします。

日本人が組成する組織風土が戦中のそれと大きく変わっていないとすれば、360度評価(部下が上司を評価することを含む)は、上司が部下に必要以上に気を遣いを、部下に「サービス」をすることを誘発する仕組みです。結果として、組織の規範が緩み、組織全体が弱体化することになります。
外資系子会社は盲目的に飛びついてはいけません。

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