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へレディタリー/継承

「へレディタリー/継承」をみました。

ここから先はネタバレを含みますので未視聴の方はご注意ください。

解説と考察はこちらを参照しています。



簡単に言うと主人公アニーの母の死からどんどん家族が壊れていく話なのですが、アニーの精神崩壊していく様がリアルなのが1番しんどいと感じた部分でした。ミッドサマーでも感じたけれど、アリアスター監督は精神がやられた人間を描くのがうますぎる。それと音で怖がらせるのも上手いですね。

あと最初のアニーの作るミニチュアの家から部屋のセットに切り替わっていくのは、家が箱庭だということや、継承という逃げられない運命、一つの家族の物語に入り込ませるなどの意味を持たせてるのかな。面白い表現です。

ちなみに映像的にキツかったのは娘チャーリーの吹っ飛んだ頭です。吹っ飛ぶ瞬間が一瞬かつ暗いのでわからなかったけどどうなったかの想像はつくし翌朝の虫がたかった姿をアップにするものですから恐怖を感じました。ミッドサマーより年齢制限低いけどおそらくセクシャルな描写が少ないからなのかもしれない……。それでも裸の人々は出てくるけれど。

私解説見るまでずっとチャーリーのこと自閉症児だと思ってたんですよね。舌で「コッ」っと鳴らすのはチックなのかなと思ったし、最序盤寒いところでわざわざ寝ているしこだわりがありそう、テスト中は終わってもないのにも関わらずおもちゃで遊んでいる、パーティーでの人見知り、鳩の首をちょん切るのは奇行で変わった女の子なんだなと思ってました。

鳩の首をちょん切ったのは悪魔が乗り移ってることによるものみたいですが。

変わった女の子で気になるなと思っていたので序盤であんな死に方での退場は悲しかったですね。もっと見たかったのに。

そもそもあんな見るからに内向的な子を高校生の集まりに行かせるのってどうなの…アニー何も分かってない……し案の定人見知りになってるし。ナッツが出てきて嫌な予感したらアレルギーで呼吸困難からの頭バーン。

涙すらもそのままにして走り去るピーター…お前なんなんだよ。

ピーター授業中女の尻見てるし、好きあらば葉っぱ吸うしそもそもあんなところにチャーリー連れ出さなければ(アニーに言われたからとはいえ…しかもアニーもチャーリーの性格ちゃんと理解してたら行かせなかっただろうに)ととにかくまあクズだなあと。付き合ってる連中も連中だし……。

最終的にアニーの母エレンの血筋の男の体が必要とは言え、ピーターが最後まで残るの納得いかなかったり。報いを受けろって思っちゃった。

話の本筋はそうではないし、悪魔の器としての身体になるまでに散々な目にはあってはいるんですけどね。

最後10分くらいの怒涛の恐怖感よ。変な物音はするし、ボケてるとはいえアニーが天井に張り付いてるし、変な裸の人々はいるし。アニーの首切断はそういうおもちゃとして見れば怖くないコワクナイ……。


母と娘を短期間に喪失し、立ち直れないまま自助会に参加しそこの参加者から怪しげな呪術を教わりどんどんおかしくなるアニーの姿、カルトって弱った人狙ってそれに付け込むのでリアルでしたね。しかし、アニーは娘を亡くしてそんな嗚咽にまみれるほどチャーリーを愛してたようには思えないんですけどね。アニーの精神崩壊していく様やヒステリーになる様がリアルすぎて恐ろしかった。夢遊病や精神的に参ってるため幻覚なども混ざっているだろうが、ピーターを産むんじゃなかった発言は毒親もちの自分に刺さってしまった。チャーリー降臨のまじないをするために付き合わせたり、チャーリーのスケッチブックを処分させようとするところは焦りやヒステリーの演技がこちらに伝わってきて不快すぎて止めてしまうほど。


この映画の1番恐ろしい点はチャーリーの死から全てカルトの掌の上だったことですね。エレンとジョーンのカルト上の繋がりが判明していくところはゾッとしました。

あと唯一真実に気づいた人間が精神がおかしいからとまともに取り合ってもらえないところも怖いですね。こちらは「帰ってきたヒトラー」にも同じような描写があって恐ろしいと感じました。

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