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NOSPRツアー 完走!!


ポーランド国立放送交響楽団が日本での11公演を終えた。
私は初日、埼玉公演と神奈川公演の2公演に足を運ぶことが出来た。

この端の日程同士の公演を聞いて感じたことを思いつくままに、少しだけ書いておこうと思う。

9月7日、川口駅へ降りると水たまりを避けて歩かなければならないほどの雨模様だった。川口公演での角野さんのピアノは、芯のある弱音と速いパッセージをマルカートに弾いていた。いつも通りの彼の素晴らしい演奏だ。
オーケストラは彼のppに合わせてバランスをとり、どこまで音が小さくなるのかと、呼吸をすることもはばかられるようなそんな演奏だった。ピアノとの位置が近かったこともあり、ダイレクトに煌びやかな音色が伝わり、ピアノの音色を強く思い起こせるものは川口公演の方だったりする。

台風が近づく落ち着きのない空模様だった9月19日、神奈川公演ではオーケストラもピアノも音量が増し、はつらつとした音色だった。コンダクターのマリン・オルソップもオーケストラに対して音量をもっと下げるように指示しているような箇所はあまり見受けられなかった。
私が覚えている目頭が熱くなった箇所のひとつに第2楽章のピアノが入る小節、ホルンの旋律との絡まり方が絶妙なタイミングで入って来た時だ。恋に悩むショパンの憂いの表情が見えるようなピアノの旋律に胸がとても締め付けられる。マリン・オルソップのコントロール力に圧倒された川口公演だったが、公演を重ねるごとに増す各楽器、ピアノ、指揮者間の信頼関係が強く垣間見える演奏であり、立体感のあるショパンだった。聴こえてくる旋律が浮き出て聴こえてきたのもこの神奈川公演でだった。アクセントがより鮮明で、休符が忠実に休まれているようで、フレージングにキレがあった。特に終楽章はカラフルで喜びに満ちていて、角野さんらしい上品で押し付けることのない、無理に個性的にしようとしない演奏だ。
常々思うのが、優雅に水面を泳いでいるように見える白鳥が、水面では必死に足をもがき泳いでいる。その必死な努力を見せようとしない、技巧的なフレーズをこれ見よがしに披露しないところが角野さんと重なるのだ。

同じコンチェルトを11回弾き続ける経験は角野さんをどう変えただろうか。これからも彼のピアノから目が離せないだろう。


コンチェルトツアーの余韻を感じる間もなく、全国ツアー2023の報せが届き、
(なんてせっかちなの…!)
と思ったことはここだけの内緒、ということで🤫😉


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