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改悪?改良?それは「神」のみぞ知る『アクトレイザー・ルネサンス』

 懸命に生きても、どうにも上手くいかない。正直者が馬鹿を見るような世の中。皆様、こんな世界狂ってると思いませんか? 地上には魔物が蔓延はびこり、人々は救いを求めて神に祈る。そんな世界が理想では無いですか?

では、私が新世界の「神」となります。

 今日はそんなゲーム。

SFC初期の名作『アクトレイザー』の「再生」ルネサンス

 『アクトレイザー・ルネサンス』は2021年9月24日NintendoSwitch、PS4、Steam、スマホにてリリースされた2Dアクションゲーム。元々は、1990年12月16日SFCスーパーファミコンで発売していた作品。任天堂の新作発表会でもある「NintendoDirectニンテンドーダイレクト」でサプライズ発表からのすぐに配信開始という衝撃は凄まじかった。一番の驚きポイントはリリースがSwitchだけじゃなかったことかもしれない
 プレイヤーは「」となり、各地に存在する魔物を討伐して人間の発展を見守ることとなる。メインは「神」だが、多くの時間は「神」よりも「天使」を操作することになるのはご愛嬌。

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「クリエイションパート」の画面

 本作は横スクロールアクションで魔物を倒していく「アクションパート」と人々を導きながら各地を発展させていく「クリエイションパート」の2つのパートに分かれているところが特徴。異なるゲーム性のシステムが共存している点は面白い試みだが、人によっては手を出すのを渋ってしまうポイントでもあるので諸刃の剣だ。

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「アクションパート」画面

 ちなみに、本作は公式では「リマスター」と称しているが「リメイク」と表現しているメディアも多い。どっちが正解なんだ。

世は混沌を極めていた(テキトー)

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リメイクだと思ってた

 以降の記述については、SFC版の記憶が薄れている状態でPS4版でのプレイした感想となりますので、ご認識いただければと思います。

解像度の上がったアクションとクリエイションとストーリー

 「リマスター」ということで、グラフィックは大きく進化。美しく描かれた世界で若干ゴチャついてる感じはあるが、背景と乗れたり壊せたりするオブジェクトが意外と見やすくて驚く。新要素として「バックステップ」が追加され、一定時間無敵となることができるのでアクションも強化されており、リリース当初に「バックステップの無敵時間が長すぎる」というのがちょっと話題になっていた。これだけを見て「バックステップゲーだろ」とバカにするやつがいたら神の力で雨を降らしたあとに雷を落としてやるからな。真にヤバいのは「ジャンプ上斬り」なので覚えておいてくれ。

問題のバックステップ

 ストーリーについては各地に「英雄」と呼ばれる固有のキャラが追加され、村人と「英雄」を絡めたストーリーが展開されるが、大筋はSFC版と同様だと思う。最初の住人のグラフィックは使い回しではなく、各地域ごとに合わせた衣装をまとっていて、これも見どころの1つだ。僕はカサンドラ専属の神になるよ。

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個性豊かなキャラクター

 「クリエイションパート」はSFC版と比較して追加要素が多い。リマスター版は単純に村を発展させていくだけではなく、魔物からの襲撃に対抗しなければならなくなっている。いわゆる「タワーディフェンス系」と呼ばれるようなもので、上手く砦や防衛柵を配置し、「英雄」を導きながら神の力でフォローをするという若干忙し目なシステムになっている。ストーリーを進める上でも、各地域で3〜4回ほどはこれをやらないといけないので、苦手な人は先にどんなものか動画で確認しておいた方が良いかもしれない。私も経験が少なく、得意では無いシステムなので難易度は高めのように感じた。

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もっとプレイ回数が少ない方が……

 「アクションパート」や「クリエイションパート」の難易度はゲーム中の設定でいつでも変更できるので、躊躇せずに難易度を下げよう。地域を発展させきった後でも「魔群の襲撃」というイベントが4〜5分間隔で発生するので「タワーディフェンス」をやることになるが、そこは難易度によって報酬が変わるため、そこだけ気をつけてもらえればと思う。ただ、報酬といっても、「英雄」のレベル上げを行う強化アイテムくらいなので、トロフィーや実績狙いでなければ無視しても大丈夫。

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「EASY」はかなり簡単だと思う

クリアまでの時間は17時間〜19時間程度

 ゲームを始める前に個人的に気になるポイントでもあるので、最初の方に書いておく。ちなみにこれは「クリエイションパート」でのサブクエストも全て完了させているため、必要最低限のクエストのみでアクションも得意であるならばもっと早くクリアできると思われる。まぁ、参考までに。

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いろんな区切りで分けたセーブデータ

中断する前には手動セーブ必須!

 セーブについてですが、オートセーブ機能はあるが基本的には手動でのセーブとなることに注意していただきたい。自分のデータを確認すると、39時間くらいプレイしたところで、オートセーブは31時間時点のが最新だったのでオートセーブは信じてはいけない最悪の場合の救済処置として存在しているだけだと思う。家庭用ハードの場合、スタンバイとかスリープモードなどでセーブせずに中断できるが、中断する前には手動でセーブする癖をつけよう
 幸いにも、私は事故ったことがないのでオートセーブがちゃんと機能しているかは不明だが、過信すると危険そうなので一応明記しておく。

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「アクションパート」に入ったタイミングで
オートセーブされるようだ

配分は7:3くらいで「クリエイションパート」の時間が多い

 SFC版の記憶がないので、リマスター前からこうだったかは定かではないですが、とにかく「クリエイションパート」の時間が圧倒的に長い。そのため、アクションゲームをカッツリしたいと思っていると肩透かしをくらうかもしれない。地域の発展を見守り、文化レベルが上がったら新しい家を建てさせるために雷で村を一掃するなど、どの地域でもやることが同じで進めるほど食傷気味になってしまうかもしれない
 「クリエイションパート」は中途半端なシステムで、基本はSFC版の通りで、見守るしかない状況が多い。30秒に1度、砂時計がひっくり返り地域が発展していく。ただこれだけ。レベルが上がった建物を建てるには、古い建物を破壊しろと言われるが、どれがレベルが低いものかは見分けがつかないし、確認する方法がない。シンプルに全てを雷で焼き払ってしまえばいいのだが、序盤は「神の力」を乱発もできないのでかなり面倒に感じた。「火事を雨で消す」というイベントがあるが、そのイベント以外では一切発生しない。もっと「神の力」を活かしたギミックやイベントがあったら良かったのに。地域の「文明レベル」が上がったら、神の力で一掃するのが恒例行事になるが、だんだんと躊躇ためらわずにできるようになってくるのが「神」の怖いところ

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毎回0からスタートする「クリエイションパート」

SPECIALモードの最高難易度「HEAVEN」は歯ごたえあり

 「SPECIALモード」は「アクションパート」の各ステージを使用したスコアアタックモード。アイテムを回収し、ザコ敵を倒しつつ、どれだけ早くボスを倒せるのかを競う。SFC版にもあったらしいが、たぶん私はやったことがない……。通常のストーリーでは「EASY」「NORMAL」「HARD」の3種類だが、SPECIALモードではさらに最高難易度の「HEAVEN」が追加されている。これが非常に難しい。単純に被ダメージが大きくなり、敵のHPが増えるという感じだと思うが、ミスをしないように進まなければならず、ボス戦ではちょっとしたミスで一瞬で死ねるので最後まで油断ができない。アクション好きにはおすすめのモード。

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難しくて、頭がHEAVENになる

 このモードはメインストーリーのセーブデータを基にプレイするため、メインストーリーで「神」のレベルを上げてから挑むと体感的に難易度も下がる。ただ、ダメージを受けない立ち回りが必要となるのは変わらないので、歯ごたえは残る。

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クリアができなければレベルを上げよう

ロード時間を考えるなら、圧倒的にSteam版がおすすめ

 ロード時間。これは現代のゲームでは悩みのタネの1つだ。特に最近のゲームはロード時間が短縮されてきているため、余計にロード時間を気にしてしまうことが大きいかもしれない。PS4版でプレイしていたのですが、画面を移動するたびに10秒程度のロード時間が挟まる。また、スキップできない地域の名前を表示する演出が入るため、操作不能な時間が合計で20秒近くにもなる。Youtubeにアップロードされていたロード時間の比較動画を見て、Steam版の早さに鳥肌が立つほど驚いた。ロード時間を気にする人は、プレイ環境があるならSteam版が一番良いのではないだろうか

かなりありがたい比較動画があったのでペタリ

地味な不便さが積み重なるストレス

 便利になりすぎたゲームに慣れてしまったせいでもあるが、やりたいことに対して1ステップ、2ステップ余計な操作が必要だったり、画面上見にくい点があったりと、プレイしていると「うわ、面倒くさい……」という小さな不満が積み重なるポイントがあります。そこで、個人的に感じた不満点を書き殴ってみる。とりあえず思いついたものを挙げてみたが、割と多い

・「クリエイションパート」から「アクションパート」へ直接移動できない

 ストーリーが進んでいくと、「クリエイションパート」でのクエストの関係で「アクションパート」へ行く必要があるが、その際には一度「ワールドマップ」に戻ってからステージ選択をするというステップが必要になる。上記のロード時間の話も含めて、小さなことだが積み重なるとわずらわしくなる。
 また、別の地域に移動する際にも「ワールドマップ」を経由しないといけないため、今いる地域から別の地域へ直接飛べるようなシステムがあると嬉しかった

・「アクションパート」でカメラがプレイヤー中心すぎる

 「アクションパート」では若干迷路気味になっており、高い位置から下の足場に降りるようなシチュエーションも少なくない。だが、カメラは基本的にプレイヤー中心であるため、下の足場を確認することができない。降りてみないと足場があるのか、敵がいるかどうかがわからないというギャンブル的なアクションをするハメになる。また、足場と足場が空いているマップでは「落下する場所」と「下にもステージが続いている場所」があり、ひと目では見分けがつかない。このせいで何回も落下チャレンジをして負けている(完敗)。

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この下に何があるんだ……

・「タワーディフェンス」の出現する敵のバランスがおかしい

 各地域では「英雄」が初期配置されているが、魔法攻撃をする「英雄」がいるのに最初に出てくる魔物が魔法攻撃耐性がある魔物とか嫌がらせが過ぎる事前に敵の情報も表示されないので、砦での対策もできない。下手すると神の力だけでゴリ押すしかできなくなる。魔物が倒せないと他の地域の「英雄」を助っ人として呼び出すこともできず、発展した建物が壊されていくのを眺めるしかない時間を過ごすのはキツイ

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そら人々は殴り合いを始めるわけだ

・「クリエイションパート」でのアイテム回収が直接動いて取りに行くしかないし、欲しい物が出ないことも多い

 「クリエイションパート」では工場や畑などから素材を回収できるが、いちいち取りに行かないといけない。微妙に大きいマップなので、素材が回収ようになった音が聞こえたら一周見回らないといけなくなる。また、2種類の素材がランダムに出現するため、目的のものが出ないことも多く、ストレスポイントとなる。なにかしら「生産の方針」みたいなのも導くことができたら良かった。本作のストーリー上、そこまで神が関わるのはよろしくないかもしれないですが……。

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いちいち取りに行かないといけない

・SPECIALモードに「リトライ」がない

 最高難易度でプレイしていると余計に感じますが、1発ダメージを受けただけでやり直すことが多いので、すぐに再スタートできるような仕組みが欲しかった。一度「リタイア」をしてステージ選択画面を経由してまた始めるのが面倒くさい。連打するだけなのだが、ハイスコアを狙うようなモードなのに繰り返しプレイが容易にできないのはちょっといただけない。

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メニューにリトライもつけて欲しかった

SFC版も収録されている、安心、安定の音楽

 『アクトレイザー』といえば古代祐三こしろゆうぞうさんによる最高のBGM。それは当時、開発終盤の『FF4』のスタッフがBGMを聴いて、音楽を作り直したという都市伝説があったりするほど。正確にはサンプリングし直したとかいう話だそうだが、詳細は各々調べていただきたい。

 本作では全曲アレンジとBGMの追加がされている。さらにはSFC版のBGMが「クラシック音源」として用意されており、ゲーム中にいつでも変更が可能となっている。「クラシック音源」のすごいところは、追加されたBGMもしっかりと「クラシック音源」で収録されているところ。SFCのような音源で作られた新しいBGMは自然で、初めてプレイする人はどれが追加されたものかがわからないのではないだろうか。私も「これ、聴いたことあるような……」というようなデジャブが起きていた(幻聴)。
 SpotifyではSFC版の楽曲が配信されているが、サウンドトラックとして1つにまとまっておらず、1曲ずつシングルとして登録がされている。謎仕様。せっかくなのでプレイリストを作ってみた。サントラと同じ曲順になっているはず。やはり「フィルモア」が至高だが、追加されたBGMも非常に良いので是非ともプレイして聴いてもらいたい。

「クラシック音源」

音楽は最高だが、人を選ぶ名作リマスター

 SFC版からそうだったのかもしれないが、「クリエイションパート」の進化によって、より一層人を選ぶような作品になっている。ガッツリとアクションがやりたい人には進みのテンポが悪く、「クリエイションパート」は作業感が強い。ストーリーは人間の苦悩や「英雄」の葛藤などが描かれていて、エンディングも含めて個人的には良いと思う。ただ、全体的にバランスが微妙で、人に勧めるの躊躇ためらってしまう部分も多い。古代祐三さんのBGMを感じながらゲームがしたい人は触ってみると良いだろう。あと、小生意気な「天使」ちゃんを見たい人もプレイしてみると良い

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やれやれだぜ

 夢のような「再生」を見せてくれて非常に嬉しかったが、必要なのは「再生」ルネサンスではなく「転生」リーインカーネーションだったのかもしれない。これをきっかけに、完全新作も出たらいいなぁ、なんて「神」に祈ることにしよう。

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ひたむきに願うよ

 それでは。

 おわり。

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トロコンまでは35〜40時間程度だろうか




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