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経営戦略 総論(3)

実際に事業経営をしていると、事前に検討したシナリオや戦略が完璧だ!と信じていても、いざ実際に実行段階に入っていくと、途中で軌道修正が必要になってきたり、状況が不透明で混迷状態に陥ること、最悪はシナリオ中止、事業撤退など、さまざまな困難にぶち当たる。

そんな時、そもそも(おまえが)立てた計画や戦略が拙かったのではないか? と現場や回りの幹部から疑問の声が上がる。本社や戦略スタッフは現場がわかっていないとか、コンサルタントの口車に乗せられただけだろと散々だ。
一方で成功した暁には幹部の立場として実行部隊の皆さんを「さすが君たち!」「現場の力だ!」と誉め讃える一方で、戦略スタッフはこっそりと「やったぞ!」ほくそ笑むのがお決まりのパターンだ。

いずれにせよ、戦略がなぜ思い描いたようにうまくいかないかについて、自身の反省を込めて、また、先人と同じ轍を踏まないよう、いくつか良書を紹介しておきたい。

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1冊目は米国の経営学者ヘンリー・ミングバーグ教授がMBAの限界を指摘した書籍「MBAが会社を滅ぼす」だ。バブル当時、日本企業もMBAブームだったが、帰国した社員が既存組織でうまく機能しなかったり、辞めて行ったりする中で読んだ本だ。経営分析・正論を振りかざすだけでは組織や人が付いていかないのは日本でも欧米でも同じ話だと気づかされた。


2冊目はコンサル自身がコンサルタントが描く戦略を批判した書籍。
読んだ当時はコンサル会社との付き合いも多かったので、暴露本的だなぁと思った一方で、いまでも新しい戦略論やバスワードに単純に踊らされないのはこの本のおかげだ。


3冊目として、日本の第一線の経営学者である神戸大学教授 三品和広さんが日本企業の失敗事例を丹念に調べ上げ、なぜ日本企業には戦略がないと言われるのか、戦略を作ったとしても多くはなぜ機能しないのかを鋭く分析した「戦略不全の論理」を上げたい。


そして、最後はコンサルタント出身で現在、一橋大学や早稲田大学で教鞭を執られている菅野寛さんの「経営の失敗学」だ。

個人的にはこの本が一番、わかりやすく、かつ日本企業の事例が中心のため、現時点において最も腹落ちしている。

失敗のパターンを大きく
 ①考えるアプローチ/頭の使い方 
 ②ビジネスの立案
 ③ビジネスの実行
に分け、失敗事例とともに、どうしたら地雷を踏まないか、同じ轍を踏まずに成功へと導けるかを失敗パターンごとにいくつかのヒント、示唆を与えてくれる。

コンサル会社が宣伝する戦略ツール、また、流行の戦略バズワードに胡散臭さを感じる天邪鬼な方にも、頭ごなしの否定ではなく、どこに落とし穴があるのか、どのあたりが限界なのかを知るためにお薦めの4冊だ。

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