見出し画像

【新任マネージャー向け】「人に影響をあたえる」ために私が大切にしていること

個人経営者であっても、会社員であっても1人では大業を成し得ることはできない、ということは百も承知ですよね。
先日、「人にどのように影響を与え、動かせばいいのか?」という問いについて議論する機会があったので、私が考え大切にしていることを紹介したいと思う。

私は中学、高校、大学とバスケットボール部の主将や会長などを務め、社会に出てからもビジネス研究会の運営やプロジェクトのリードを任う経験を豊富に得ることができた。その過程において、部下でもない人(強制力が働かない)にどのように影響を与えるのかについて考えてきた。数多くの失敗を経験した私は今、様々な角度からこの問いについて考え、実践している。

まず、基本的原則として大切だと考えていることは”Give & Take”である。相手搾取する(自分のしてほしいことだけを与える)だけでは、枯渇(期待に応えてくれなくなる)してしまう。相手にいかに貢献できるのか?という視点は常に大切だ。一方、言うは”易く行うは難し”であり、自分自身が十分に実践できているとは言えないところが難点である。

さて、本題に戻そう。本編を日常のシーンで活用する機会の多い初級編と、ここぞという場面で活用する中級~上級編に分けてみた。

初級編
 ・論理と情理
 ・三者の法則

中級~上級編
 ・巻き込み力
 ・魔法の3つのパワー

初級編

論理と情理
まず「論理的に相手を打ち負かす場面や人は選ぶべき」だということを伝えたい。ご存じの通り、人は論理的に理解できたとしても、感情的に納得しなければ、思考や行動を変えることに葛藤を生じる。当たり前でしょ?とわかっていても、マウントを取りたい人は世の中に多く、論破して自己満足に陥る(私も振り返り反省するときはある)。優秀かつ負けん気が強い人がやってしまいがちな失敗である。基本的には論理と情理のバランスを取りながらコミュニケーションを取ることが望ましいだろう。
例えば、部下ではないステークホルダーマネジメントのケース。クロスファンクショナルに何かを進めていく際、コンフリクトが発生したならば、論理的に説明しつつも、相手の主張に寄りそうコメントや態度(情理)が重要なのである。主張していることは常に論理的であるべきだが、相手の立場や心情を考え、妥協点を探る姿勢を持つことである。
しかしながら、意図して論理的に詰めることが良いと思うケースもある(賛否両論あると思うが)。例えば、メンバーの育成において意図的に論破して強いショックを与える場面など、論理を優先させるべき場面もあると思う。このような場面では感情が表出する(この場合、寄り添うこと)ことで期待した効果(ショックを与える)を得られないため、個人的には冷静かつ論理的に議論することが重要だと考えている。

三者の法則
つぎに、シンプルだが人の心理を突いている(と私が思う)この法則を意識して活かすことだ。人は”直接的”に自分の批評”を聞くよりも、”間接的”に聞くほうが、そのインパクトが高まるのだ。一つ事例を紹介しよう。例えば、自分の悪口をAさんが言っていた事実をBさんから聞いたとする。Bさんから直接言われる方がまだマシだと思わないだろうか?真逆の事例も紹介しよう。Aさんが自分を直接褒めてくれるより、Bさん経由で、Aさんが褒めていたと聞く方が嬉しくないだろうか?理解できるようでできない、この法則を聞いたとき、半信半疑だったが、長らく人間関係を観察する過程で、まさにその通りだと思うようになった。20代前半に尊敬する上司から教えてもらったことだが未だに活用できる。なーんだ、当たり前じゃんと思う人もいるだろうが、意識して活用している人は多くはない。頭で理解できても意識することや実行は容易ではないのだ。実際、私にも人の好き嫌いはあり、悪口を言ってしまい関係を悪化させた経験もある。この法則は諸刃の剣なのだ。だが、この法則を理解して、実践することで、人間関係をポジティブな方向に導き、人に影響を与えることができる。

中級~上級編

さて、難易度は高いが以下の2つを習得できれば大きなインパクトがある。

巻き込み力
私はマーケティング部門の責任者として、多くステークホルダーを巻き込みながら、合意を形成して物事を前に進めなければならない。巻き込み力は不可欠なのだ。

もっとも大切なことは、ステークホルダーをできるだけ最初の段階から巻き込むことである。特に、決定権持つ人や発言力がある人を外してはならない。検討の段階から巻き込むことで、対立関係ではなく、味方になってもらうことができ、かつ意見を拾うことでより良い最終結果に導くことができるだろう。とくに、マウントを取りたい傾向がある人については大きな効果が期待できる。途中から巻き込んでしまうと、意思決定の場面で否定されるなど被害は甚大だ。こういった人は”とくに自分を大切にしてくれているかどうか”が重要なのだ。最初の段階からステークホルダーを巻き込むためには、自分が何を成し遂げたいのかを伝える力(絵を描く力やストーリー構成力、加えて効果的に伝える力)が重要である。加えて、根回しを綿密に進めるための想像力(いつ誰に、どこで何を伝えればどんな結果が生まれるのか?など起こすべきアクションをいかに想像して組み立てることができるか)が不可欠である(このケイパビリティについては別途記事が必要なレベルだ)。加えて、多くのステークホルダーを巻き込むことは多くの否定的な意見にも晒されることになるため、勇気やストレス耐性も重要になってくる。

魔法の3つパワー
「この人、どうやったら動いてくれるかな・・・」と困り果てることはないだろうか。。。その際に役に立つのが、私が魔法の3つのアングルと勝手に呼称しているものだ。MBAで学んだ内容でもっとも活用しているスキルの一つではないだろうか(注:厳密には私の解釈がはいった内容になっている)。

まず、対象と自分を比べて下記の3つのアングルから自分の立ち位置を評価する。

1)「ポジションパワー」はあるのか?
とても、シンプルな話で、自分に役職(課長や部長)があり、相手が部下である場合、上司と部下という関係になり、強制力を働かせることができる。この場合、難しいことを考えずとも、上司命令により相手を動かすことができる。

2)「専門性パワー」があるのか?
次に、動いてもらいたい案件(例えば、営業であれば訪問回数を増やすなど)についての専門性について、相手と自分の専門性のレベルを考察する。ここで重要なのは相手を説得できるレベルの差をつけて自分が勝っていることだ。この場合、相手に影響を与え、動かすことができる。

3)「関係性パワー」があるのか?
最後に、相手と自分との関係性だ。関係が良好であれば、”情”を活用してお願いすることで相手に動いてもらうことができる。

つぎに、上記の評価をベースにして、コミュニケーションプランを組み立てるのだ。事例を交えて紹介したいと思う。

ケース1)
営業の平社員として働いているが、ある日、組織横断的なプロジェクトを任せられることになった。他部門の年上のメンバーが、プロジェクトに対して否定的な意見をもっており、議論をとめるような発言をするため困っている。

この場合、ポジティブパワーも関係性パワーも使えそうにない。よって、関係性パワーを駆使するため、まめに声をかける、飲みに誘うなどの方法を駆使して人間関係をつくっていくプランを立て、実行するのだ。骨は折れるが一歩ずつ状況を改善していくことはできるだろう。

ケース2)
マーケティング部門の課長職として働いているが、日々の業務において年上の部下が言うことを聞かず困っている。

この場合、ポジションパワーは確実に使える。ただ、単純にこれを行使することは相手にネガティブな感情を抱かせる結果となり、将来的には良い結果を生まない。よって、自分のマーケティング領域での専門性(専門性パワー)を武器にして、論理的な説明を行うと共に、1on1やランチミーティング、飲み会などを活用して相手を知り、関係性を構築(関係性パワー)することで、情と理の両輪から攻めることでスムーズに物事を進めることができるだろう。

このように、魔法の3つアングルを通して相手との関係性を評価して、コミュニケーションプランを立て実践することで、難攻不落の相手を落とすことができる。一方、単純にパワーがあるから行使するのではなく、情と理という観点から冷静に評価してプランを練ると良いだろう。また、このスキルは多少なり負荷もかかるため、繁用するもではなく、困ったときのアプローチ方法としてとっておくべきだろう。

以上、「人に影響を与えるために」私が大切にしていることを紹介した。どんな立場にあろうと人と隔絶して生きていくことは難しいため、対人関係が大きな悩みになってしまう。今回の記事が少しでもお役に立てれば嬉しい。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?