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「サーカス・オブ・ブックス」 子供がゲイだとカミングアウトした後の親の気持ちとは

Netflix ドキュメンタリー 「サーカス・オブ・ブックス」Circus of Books (2020年4月22日公開)

3人の子供を持つカレンとギャリー・メイソン夫婦は、30年ほど前、ロサンゼルス、ウエスト・ハリウッドで、本屋を開業する。だが、そこは普通の本屋ではなかった。ゲイ・ポルノ専門ショップだ。

開業した理由は、お金に困り、子供を養うため。ゲイ向けに、商売として経営しただけだ。子供たちには、店に来ても「床だけ見て歩きなさい」と指示を出した。

店の裏通りは、いつしかゲイ・コミュニティの“ハッテンバ“となり、この店はロスのゲイたちには欠かせない店になっていった。
共和党のレーガン政権時代には、ポルノや同性愛排除の動きが出て、店を潰されそうになるが、民主党クリントンの時代になり生き延びる。

そんな歴史を経て来たが、2008年頃のリーマン・ショックと、インターネットの普及で、店の売り上げはダダ下がり。常連客も高齢化し、自分たちも老いた。彼らは店を閉店することを決断する。

Reference YouTube

娘のレイチェルは映画監督となり、この店のドキュメンタリーを制作した。使う素材は、昔撮った家族のビデオ。それに両親、兄弟や関係者へのインタビュー。

お兄ちゃんのジョシュは、自分がゲイであることを悩んでいた。親にカミングアウトする勇気がなく、帰省して明日コロンビアの大学へ戻るという夜に、付箋にこう記し、テーブルにおいた。「僕はゲイです」

お父さんのギャリーは、優しく受け入れてくれたが、敬虔なクリスチャンである母カレンは、ショックを受け、こう言った「これは天罰よ!」

彼女は、ゲイ・ポルノ専門ショップを開いたことを後悔した。

レイチェルは、インタビュー撮影中お兄ちゃんの辛かった過去を聞き、涙する。私もゲイと知ってたはずなのに、なんで言ってくれなかったのと。

これは、「サーカス・オブ・ブックス」という本屋を営んだ、メイソン家のファミリー・ヒストリー。

お母さんのカレンは、あまりに強い宗教観のため、ジョシュを受け入れることができなかった。彼女は、神学、聖書を学び直し、自分の心に折り合いをつけ、受け入れようとした。

PFLAGという、ゲイやLGBTの親の会に参加し、みんなと気持ちを共有することで、やっと息子を受け入れることができた。
今では、堂々とみんなの前で話し、ゲイやLGBTのパレードにも積極的に参加する。

彼女はこう考えている「子供には子供の人生がある。親はただ最初の一歩か、二歩を手伝うだけ」
「親は変革を求めて闘うもの。子供はただ普通に暮らせばいい」

これを見て、ぼくは一人の親として考えた。自分の子供がゲイだと言えば、受け入れてやれるだろうか?
このお母さんは、このことを神からの試練として受け止め、やがて全てを受け入れる。これが親の愛である。

本当の意味での「子離れ」とは、こういうことを言うのかも知れない。そのことを教わった気がする。親も何歳になっても、成長しなきゃならんのだな。

てなことで。

06-Oct-20 by nobu

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!