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複数の業界を統合するプラットフォーム化の動きへの中小企業の対応は?

【今日のポイント】

自社の業界と他の業界の市場を統合するプラットフォームの構築を進める様子が、デジタル技術などにより更に進んでいることが最近のニュースからも窺えます。

中小企業の対応の方向性としては大きく2つが考えられると思いますが、いずれの場合も、今まで以上に広い範囲での情報収集と分析が重要となってくるものと考える次第です。


1.複数の業界にまたがる市場の統合の動き

 私達の周りをみても、ガソリンスタンドがカフェや商品販売まで手掛けていたり、
コンビニが商品販売に限らず、配送・受領、公共料金の支払いや住民票の写しの取得などの窓口として生活全般のプラットフォームとなっているように、ユーザーの「ワンストップサービス化」のニーズに応えるとともに、ユーザーの種々の消費行動に関する情報を統合して利用する動きは以前から進んでいますね。

また、英国では昔から郵便局がコンビニ的なお店の機能も持っているように、生活に必要なサービスのワンストップ化は、海外でも多く目にするところかと思います。

この様な動きは、以下の記事のように、ヘルスケアなどの分野でも始まっており、今後、「異業種間での生活全般のプラットフォーム競争が激化する」ことが予想できるかと思います。

『リテールとヘルスケアの架け橋:開花するふたつの市場の融合 Bridging Retail and Healthcare: A Blossoming Fusion

2023/7/7の1日5分ビジネス英語の記事。
https://matt-english.com/podcast/20230707

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『ショッピングモールやショッピングセンターで、歯科クリニックやその他のヘルスケアサービスを見かけることは、今や珍しくない。
このトレンドは、ビッグ・テックが初めてヘルスケアに足を踏み入れた頃にさかのぼる(「ビッグテックは医療を支配するのか?」--2022年7月12日付)。
今日、このトレンドは燎原の火のごとく広がり、ウォルマートやベスト・バイのような小売大手がヘルスケアサービスの幅を広げている。』


2.複数の業界でのプランディング

上記のような、複数の業界にまたがるサービスのワンストップ化・プラットフォーム化は、プラットフォーマーや、プラットフォームの上で事業を行う企業のブランディングにも影響を与えているかと思います。

以下は、私の想像ですが、最近報道されている、Apple社が現在のかじりかけのリンゴのロゴだけでなく、果物のリンゴの画像も商標登録しようとしている事例なども、
単に現在の自社の事業領域でのブランドを守るだけでなく、今後、多くの(現在はまだ計画していない)分野への参入まで想定したブランド戦略を取っているからではと想像する事もできるかと思います。

そして、プラットフォーマー側だけでなく、このような複数の業界を統合するプラットフォームの上で事業を展開する企業側も、プランディングなどの面で対応を求められている可能性を感じる次第です。


3.中小企業の対応の方向性

上記のように、デジタル技術を複数の業界を繋ぐ手段として利用しながら、ヘルスケアや商品販売、交通関連など複数の分野で、巨大ITを中心に統合プラットフォームを作る動きが進んでいる事は、中小企業にとっても、

まず、自社の事業領域に、アマゾンやグーグルなどの巨大ITのような、異業界からの新規参入者が出てくるという可能性を示していることになります。

また、例えばアマゾンの様なECプラットフォーム上で事業を展開する際に、同じプラットフォーム上で、他の業界からの新規参入者が出てくるということも今後増えてくる事が想定できます。

これらの動きに対して、自社が取れる事業戦略を考えることは、経営リソースが限られていることからも、また外部環境の変化が急激であることからも、非常に困難であり、かつ同じ業界に属していても企業ごとにかなり異なる状況に対応しなくてはならなくなる可能性が高くなると考えています。

この様な状況に直面した場合を想定すると、自社が取る方向性としては、非常にざっくりとしていますが、

・地域密着型の極小規模プラットフォーマー化(地域の何でも屋さん)を事業提携も活用しながら目指すか、

・どのプラットフォーム上でも活躍できるように、自社の強みをグローバルニッチとも言えるくらいまで尖らせていくか

の大きく2つが考えられるかと思います。

前者は知的資産経営で言えば「関係資産」(取引先、顧客、地域社会との結びつき)の強化がメインの課題となり、

後者は、「人的資産」(この人でなければ出来ない、あるいはこの人だから顧客が信頼して頼んでくる)と、「構造資産」(蓄積し、体系化された独自のノウハウ・知的財産や、費用対効果の面も含めて他社では真似出来ない)の強化がメインの課題となるかと考えています。


上記の様な課題を設定し、その課題の解決を図る上では、まずは従来の業界の枠を超えて、かつ素早い情報収集と分析が必要となりますので、

自社の取引先や地域の業界団体、公的機関なども活用しながら、視野を広げ、想像力も働かせながらアンテナを張っていかなくてはと、自戒も含めて考える次第です。

なお、情報収集に関しては、ブログトピックス『私の情報収集方法(情報源)のご紹介』https://wp.me/p9D2bS-pX もご参照いただければ幸いです。

【今日のまとめ】

・デジタル技術を利用した、異業種間の連携と統合により、生活全般のワンストップサービス化とプラットフォーム化が進む傾向がみえる

・上記の動きは中小企業にとってもブランディングや事業戦略面で新規参入者対応として影響を受ける可能性を示している

・中小企業の対応の方向性としては、地域の何でも屋さんを目指すか、自社の強みをさらに尖らせるかの大きく2つが考えられるが、いずれの場合も今まで以上に広い範囲で情報を収集・分析することが必要となり、外部支援の活用も重要となる

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