私の1番好きな本【1】
私は約10年前から『ゲーテとの対話』という本を愛読しています。
この本の魅力を少しでも多くの人に伝えたくて、記事を書くことにしました。
どんな内容の本なのか、ゲーテって誰なのか、を簡単に紹介したあと、本日の内容「ゲーテとの出会い」に移っていきたいと思います。
『ゲーテとの対話』ってどんな本?
・著者エッカーマン
・日記形式でゲーテとの対話を記録している
・期間は1823-1832年まで
ゲーテって誰?
・ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
・1749-1832年
・ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家
・代表作『若きウェルテルの悩み』『ヘルマンとドロテーア』『ファウスト』など
ゲーテとの出会い
"数日前にここへ着いた。今日はじめてゲーテのところへ。彼の歓待ぶりはまったく心からのものだった。その人柄の印象は、私がこの日をわが生涯のもっとも幸福な日に数えたいほどのものだった。"
エッカーマンの表現も大げさな気がしますが笑
私がこの本を読んで1番感銘を受けたのは、
ゲーテの人柄です。
私は、小説家の人って、例えるなら太宰治のような孤独な人間ばかりだと思っていました。
鋭すぎる感性を持っているが故に、世間と距離を置いて、ひとり作品と向き合ってるような。
でも、ゲーテは違いました。
とっても社交的で、来訪者が後を絶ちません。
なので、この本は全体的に明るさが立ち込めています。
エッカーマンは、初めてゲーテに会った時の印象を次のように述べています。
"私は彼と膝をつきあわせ、話すのも忘れて、彼に見とれた。いくら見ても見あきることがない。その顔はいかにも元気そうで、日焼けして、皺が多かったが、その皺の一つひとつが彫りの深い表情に富んでいた。すべての点に、なんともいえない真摯な確かさ、なんともいえない平静な偉大さ! 彼はゆっくりと楽な話しかたをする。年老いた王者を思わせるような話しぶりである。"
もうベタ惚れですね笑
エッカーマンはゲーテのことを本当に尊敬しています。全編を通じて垣間見えるエッカーマンのまっすぐな尊敬の眼差しも、この本の大きな魅力です。
ちなみになぜエッカーマンはゲーテに会いにきたかというと、
詩についての論文を書いたので、ゲーテにコッタ書店という出版社を紹介してもらいたかったからです。
ゲーテも、エッカーマンの論文を読みました。
「今ちょうど君の原稿を読んでいたところだよ」と彼はいった、「午前中ずっと読んでいたのです。推薦するまでもないね。内容そのものが立派に推薦している。」
そしてゲーテはその日のうちにコッタ書店に騎馬便で手紙を書き、返事を待つことになりました。
目的を果たしたエッカーマンは、すぐ近くのイェーナで返事を待ち、その後はライン地方の適当な場所に滞在して、何か新作を書く予定でした。
イェーナは、ゲーテの住む街ヴァイマルから、今で言えば電車で20分くらいのところです。
イェーナに行ってコッタ氏の返事を待とうとするエッカーマンに、
ゲーテは次のようなことを言いました。
「そうか、それじゃ君」と彼はさらに言葉をつづけた、「イェーナにいるのなら、すぐ近くにいることだし、おたがいに行ったり来たりできて、何かのときには、手紙のやりとりもできるね。」
次の日にはこのようなことを言っています。
"「あまり急いで行ってしまうのは、よくないよ」と彼はいった、「むしろわれわれはもう少しおたがいに近づきになった方がよさそうだね。もっとたびたびって、いろいろ話しあおうじゃないか。"
私はどちらかというとシャイな方なので、
「お互いに近づきになった方がよさそうだね」という駆け引きのない正直な表現に、心惹かれました。
このようなゲーテの強い勧誘もあって、
エッカーマンは図らずも九年間も彼のそばにいて、一緒に仕事をすることになります。
この九年間の日々の記録をまとめたものが
『ゲーテとの対話』です。
エッカーマンはまえがきでこのように述べています。
"私は、初めてあの傑出した人物と出会ったときも、またすでに彼と何年も一緒に暮した後でも、たえず教えられることを餓え求めていたし、私はすすんで彼のいう言葉の内容をつかもうとして、これから先の私の人生のためにもそれをとっておくべく、せっせと書きとめておいた。"
【続く】
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