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【人間観察】キミは、そこに反応するか!

半年ほど前のこと。

我が社が創業間もない時から、お世話になっていたお客さんの社長が、お亡くなりになった。

我が社は平成元年の創業で、その社長も同時期に会社を立ち上げられた。
創業者同士ということで、何かと話しすることが多かった。

とても優しい方で、怒っているところを見たことがなかった。

担当者が発行する注文書の決済に伺った時には、必ず「キミのところは、高いのに押し売りばかりして!」という冗談とともに、承認印を押してもらっていた。

コストだけではない、我が社の存在意義を、それなりに、誰よりも認めてもらっていたのだろう。

その告別式でのことだ。

顔見知りの某納入業者の担当者と、社長の人となりについて話していた。

<やまのぼ>は、生前社長に送った陶器製で、掌サイズの犬の置物の話しをした。陶芸を習い初めだったので、あまり似ていなかったが、ペットロスに陥っておられた社長のこころを、少しでも癒してあげようと頑張って創ったオリジナル品だ。

亡くした愛犬の黒マメ柴犬には、あまり似ていなかったのだけど、社長はその置物を大切にしてくださって、「毎日その頭を撫でてやるのが日課だよ」と、話してくださった。

<やまのぼ>に、気遣ってくれた、その社長の優しさに感激した。

そんな、生前の社長を偲ぶ話をしたつもりだった。

ところが、その四十歳代の担当者は、「似ていないんですか?」って、言いつつ場違いの微笑みを、<やまのぼ>の顔面に浴びせたのだ。

『キミは、そこに反応するか!』

<やまのぼ>は心で唸った!そして、話し相手の選択を、誤ったことに深く後悔した。

その後、その担当者は、生前社長に怒鳴られたと話していた。そらそうだろう。なぜ、怒鳴られたのかを聞き逃したが、無神経な彼なら、あんなに優しい社長でも怒鳴りつけるだろう。

社長を合掌してお送りし、帰路についた<やまのぼ>の耳に、「似ていないんですか?」という、彼のセリフがリフレインしていた。


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