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【人間観察】奥さんには、絶対に内緒ね・・・

弊社取引先のS社は、およそ四半世紀のおつき合いになる。

先代社長の創業で、その長男さんが現在の社長である。その叔父にあたるY専務は、先代社長の弟さんで、購入品窓口担当である。<やまのぼ>が、S社へ飛び込み営業し、取引開始から28年になるといえば、「もう~そんなになるのか?」といいつつ、感慨深そうな表情になられたY専務。

「ところで、・・・」と話し始めたY専務は、奥様の話になった。

「困ってるんだよ!」「その後のご容態はどうですか?」「良くもなく、悪くもないけど・・・」Y専務の話し声は、より弱々しく沈んだ。

先週、かかりつけの病院へ、診察に呼ばれて同行したんだけど、診察が終わって、夫婦二人で帰りかけたとき、担当医の先生から「ご主人だけ残ってください」って言われ、「奥様の余命は、良くて三カ月ほど・・・」との宣告を受けたらしい。

初めは、家で転んで骨折し、腰痛になり内臓疾患を一通り経験。気づけば、車イスでしか移動できず。Y専務は、食事洗濯を済ませてから、午後出社、早期退社の勤務状況が、ここ5~6年続いている。

お互いに75歳。老々介護は辛いものがあるだろう。

帰宅後、「私、もう~駄目なの?教えて!」って詰め寄られ、ウソを応えるのに困ったY専務だ。<やまのぼ>は、そらそうでしょ!自分が人払いされて、病室での会話の内容が、いい話の訳がない!医者も、もう少し配慮があってもいいのではと激怒した。

例えば、メールで知らせるとか、診断書を奥様の居ないところで、そっと手渡すかとか・・・。

<やまのぼ>は、帰宅後カミさんにその話をしたら、「私なら、部屋を出ろ!って言われても出ないけど・・・」と、ピシャリと言い切った。益々、頼もしさをパワーアップさせたカミさんに、<やまのぼ>は、タダタダ感心するばかりだった。

ところで、あなたは、どっち派?
余命宣告を自分で、直接聞きたいですか?最期まで、内緒にしてほしいですか?

<やまのぼ>は、相変わらず優柔不断な性格が顔を出し、軟弱にも決めかねるばかりだ。

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