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木造旅館のおちつき。古民家の安定感。古くなればなるほど強度が増すことが関係しているのでは?

8年位前まで、木造旅館のコレクションのサイトを運営していたことがありました。インバウンドの取引先の施設を中心に単純に旅館を英語で紹介するサイトでした。当時はまだ木造旅館の持つ魅力を分析する余裕もなく、ただ掲載をして発信をするだけの作業をしていたような気がします。
昨年に古民家を再生さいたホテルのマーケティング支援を行ったことをきっかけに、再び古い建物に興味を持ち始め、また木造建築物そのものについて勉強をしたいと思うようになりました。

なぜ古いもののほうが価値が上がるのか?
日本では新しいもの、とりわけ西洋や洋風のものが良いという風潮が平成の半ばまでは続いていました。
建物についてはどうか。
古民家鑑定士のテキスト「古民家の調査と再築」の受け売りとなってしまいますが、このように書かれています。
鉄やコンクリートなどは新しい時が一番強くて古くなるにつれて弱くなる。逆に木材は時間とともに強度が増していく。樹齢100年のヒノキは引っ張り強度、圧縮強度が増しているという研究も。木材の強度は200年や300年経っても変わらず強度が落ちるのは800年~1200年かかるとか。

SDGsが推進されてしばらく経ちますが、鎖国していた江戸時代の日本では持続可能な社会を実践していたという話はよく聞きますね。森林が豊富な日本家づくりには国内の木材を使用。古民家に使われているのは木材だけでなく土、紙、植物、石などほとんどが自然素材であり周辺で採取が可能。それらは再利用ができる材料であること。つまり古民家を建て、長く住むということ自体がが持続可能な社会を実践していることになるのです。

土壁の土。古い土のほうがバクテリアが多く、藁の発酵を促すと言われています。植物は再生される期間より長く使用すれば再生可能な資源であり、さらに周辺から調達すれば地産地用(地産地消をもじった)で輸送コストがかからず環境負荷が少なくて済みます。

話を元に戻します。古い建物は、単に外国人や若い世代に目新しいから、雰囲気が落ち着くので人気であることのほかに、物質的にも、環境的にも、そして社会的な役割としても様々な意味で価値が高まっていると思います。

全国に五重塔がありますが、地震だけで倒壊したものは無いと言われています。建てられた当時の江戸時代では耐震性のことまできちんと考えらていたのか分かりませんが、昔から地震の国なので、良い木材を使って耐震性のある構造を持つ建物を模索していたのでは?と思われます。(←調べてみます)いずれにしても木材は経年により強度が増すので、耐震(あるいは免震)に貢献しているということです。

風の時代と言われてますね。
私は癒しを求める心の時代だと思います。
世代や国を超えて、木造旅館や古民家の魅力に取り憑かれる外国人観光客が増えることは間違いないのではと思う今日この頃です。

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