アジアプロ野球チャンピオンシップを振り返って〜前編〜

 昨日、アジアプロ野球チャンピオンシップは日本の優勝を以って閉幕しました。
 決勝戦はライバル・韓国との再戦となり、試合を通じて日本がリードしたのは10回裏のみという苦しい展開が続きましたが、ランナーが2人いるというタイブレークの利点をしっかりと活かし、最後も軽打で決めました。

胴上げされる井端監督。今井選手は怪我により無念の辞退となった紅林選手のユニフォームを掲げていますね。

 全てが始まったのは、"日本代表の新監督に井端弘和氏が就任することが決まった"ところからでしょうか。思えばあの頃は新監督は工藤公康氏が有力なのではないか、という話がかなりあがっていた思い出がありましたが、蓋を開けてみれば中日の名手が全日本を指揮することになりました。

 監督デビューの仕方は、2代前の日本代表監督、稲葉篤紀日本ハムGMと同じ。まずはアジアプロ野球チャンピオンシップで若手を編成してから本格的に大会に臨むというスタイルでした。
 そして10月24日に人選が発表。WBCに出場した佐々木朗希選手や村上宗隆選手などは選出せず、あくまでも日本のこれからを担ってくれる選手たちを選びました。

会見で出場選手を発表する井端監督。

 しかし、全てがうまくいったわけではありませんでした。選出後も日本シリーズで奮闘していたオリックス・紅林弘太郎選手が怪我により出場を辞退すると、巨人との練習試合ではまさかの完封負け。
 それでも、日本は優勝を諦めるわけにはいきません。紅林選手の代わりに日本ハム・野村佑希選手を追加招集し、野手がノーサインだった巨人戦とは代わり、続く広島戦ではサインプレーも開始。見事6-3で勝利し、大会前の練習試合を終えました。

 そして迎えた大会初戦は、チャイニーズ・タイペイとの試合。この大事な試合前の声出しを任されたのは、西武のキャッチャー・古賀悠斗選手でした。中央大学の先輩である牧秀悟選手に指名を受けると、

 「みなさん、元気ですか!緊張してますか!」と切り込んだ。続けて「今日練習、監督から指摘いただきました。みなさん元気がないと言われました。元気出していきましょう。今日から始まります。スタメンだけじゃなく、ベンチの人もコーチ陣、裏方の人も全員で戦ってアジアのてっぺんとりましょう」

日刊スポーツ 2023年11月17日 1:31配信の記事より一部抜粋。

 とシャウト。アントニオ猪木さんばりの張り切り度で、日本ナインに活力を与えます。

 すると、チャイニーズ・タイペイ戦は息が詰まるような投手戦となり、0-0で迎えた7回に森下翔太選手のホームランで先制。9回には一挙3点を取って引き離すと、最後は田口麗斗選手が締めて試合終了。初戦は0-4でものにしました。
 試合後、井端監督は公式戦初の勝利後インタビューに出席。「まだ緊張している」や、「監督と呼ばれるのに慣れていない」など指揮官の心臓はバクバクしていたそうですが、ニュージャパンの滑り出しは好調でした。

試合後、選手とハイタッチを交わす井端監督(画像右から3人目)。

 チャイニーズ・タイペイの試合を観ていて思ったのが、向こうの選手たちも精密な野球をしてくるということ。アジアの選手は器用な一面を持っている人が多いのか、ある種プロ野球の公式戦を見ているような気分に陥りました。

 中でも別格だったのは、先発のグーリン・ルイヤン選手。150キロを超えるストレートとカーブ、スライダー、フォークなどの変化球に日本打線は苦しめられました。彼のピッチングは日本でも合うタイプのスタイルだったので、いつか近い未来には日本でプレーしてほしいですね。
 母国では最速157キロのストレートを武器に「火球王」と呼ばれるグーリン・ルイヤン選手は、

 「今回のパフォーマンスで注目を集めたい。チャンスがあれば、憧れの日本や大リーグに挑戦したい」

日刊スポーツ 2023年11月16日 23:59配信の記事より一部抜粋。

 と、今回の大会を経て語っていました。

チャイニーズ・タイペイのグーリン・ルイヤン選手。

 チャイニーズ・タイペイ戦が終わったところで前編は終了。次回は中編を投稿しますので、お楽しみにお待ちください。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元

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