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光男の枠下人生〜第十二章〜バンマスで悩む光男

光男はとうとう勃たなくなってしまった、それは女性という女性全てが金でしか惹きつけられないのだと思う様になってしまった、それだけ自分が今までも、そしてこれから先も女性目線で観たら如何に無価値であるのかが何となく分かってしまったというか、かなりの昔からそれにうっすら気付きつつ、認めてしまったらお終いだと考えていた、だからもはや意地でしか無い、なんだよ認めるって、認めたところでああそうですかって、、で?
その先は?
「はい、ですから、そういうことになります」
って言われて
「本件について承知しました」ってなって、
髪もスポーツ刈りにして服装もジャージ上下に偽クロックスにして、マス釣り施設から逃げ出したマスを下流で待ち構えて釣り上げるような、うすらズルい趣味を持つおっさんになれとでも?
「ええ、アナタの場合、それがお似合いというか、限界なのでは?いい加減観念して川や大自然の中に溶け込みながら静かに生きましょう」って具体的にアドバイスを受けたまま行くのだろうか、だがそれはそれでアリなのかもしれない、最初から望む方がどうかしてたんじゃないのか、マス釣り場の下流で地味に地道におこぼれを頂きながら大自然に囲まれながら開き直って生きた方がよっぽど楽じゃないか、背も低くて顔も「こまわりくん」みたいに異様にデカく、英国人のような、ヨーロッパ人のようなハスキーボイスが出せて、コケティッシュな気の利いたセリフも浮かばないんじゃ何をやっても無駄じゃないのか?と、youtubeでアメリカの有名ラウドミクスチャーなバンドのコピーをやっている某大学サークルのライブ映像は観客も大盛り上がり、ボーカルも日本人なのに発音は完璧だ、それに演奏隊も相当のテクニシャンで機材から何から何までプロミュージシャンレベルだった、これが若干20歳、ハタチでこのクオリティ、、何もかもが違う、きっと頭がいいのだろう、何せ大学生な訳だからな、コピー元のバンドは光男が20年以上前に気に入っていたバンドで、コピーも試みたが秒で挫折していた、それを当時未だ生まれて無かったであろうこの若者達はいとも簡単にやってのけ、観客席も飛んだり跳ねたりしていて巨大な渦みたいになっていた、そうやってやりたかったことを後から生まれて来た者達がいとも簡単に成し遂げて行く、
それもきっと「大学の思い出作りのため」にだ、、
そんな光男は思い出ひとつ築けることなく51歳になってしまった、
最近は誰にどう弄られようが、心の底からどうでもいいことになってしまい反発することもなく、無気力に「すみません」を繰り返すだけの男だ、
それと同時にエロスに対する執着も薄れつつある、そのくらい何も残っていない状態、しかし待てよ?それが枯れ果てた状態でステージに立つ!だなんて言えばこれはもしや?なんだかただならぬ気配なのか?
やるので有れば光男は必然的にバンマスになる、全ての主導権は自分であり、それで思い切り暴れまくれば今からでも大学生みたいななれんじゃね?
いやいや、そんなに人生は甘くはない、無理、無茶、無駄に近い事に金を遣うだけだ、それならマス釣りに行った方がまだマシだ、マスを釣って塩焼きにして食べながら紀州のドンファンのように勝ち誇った表情で唇に泡を付けながらビールを飲んでる方がよっぽどお似合いなんじゃないのか?
大体、今までもブレブレだったではないか、結局俺は全てを開き直って髪も坊主にして給料後だけ新大久保とかで不自然に立ち尽くしている相手に支援活動するような人目を憚るような生き方がお似合いなのだろう、マスも釣るけど、たまには女性も釣っちゃうぞ、エヘヘ、エヘヘ、、と。
そんなある日、光男はあんまり欲情しなくなっていることを自覚する、
それはきっと加齢によるものだろう、しかしそれすらもショックには感じない、むしろ心地は悪くは無い、むしゃくしゃするから「こう、ね、手でね、、皆さんもしてるでしょ?」と、かのガッツ石松さんが語っていたように、感情の起伏パワーみたいなやつで性欲が出る、その性欲をフル活用して犯罪以外の方法でそれぞれ楽しめば良い、光男も20代、30代、40代の頃は日常のストレスを発散すべく、帰宅後に観るエッチなビデオで自家発電しまくっていた、こんなうだるような猛暑の夕方にはすき屋でうな牛弁当特盛をテイクアウト、部屋で第3のビールをゴキュつきながら豚みたいにブヒブヒ言いながらうな牛弁当特盛に喰らい付くのだ、クーラーをガンガンに利かし、部屋の温度は18℃、ゴキュゴキュと、ブヒブヒと平らげた後はお待ちかねのエロビデオタイムだ、そんなに大股開かなくっていいんじゃないのかってくらいに両の脚を開き、ゆで上がった蛙の死体みたいな態勢で映像に喰い入っていた頃が懐かしい、そんなことを思い出しながら今は「ヤレんのか!オイっ!」と、故 アントニオ猪木さんから激を飛ばされたような気持になった光男は3日ぶりに励んでみた、結果は普通に大丈夫だった「なぁんだ、大丈夫マイフレンドじゃないかえへへ、、てっきり大丈夫じゃないマイフレンドの方かと思ったよ、裏ビデオ観たいなあ、」
とはいえ昔はほぼ日課だった自家発電も思い出した時には3日、思い出さなければ1週間も開けるようになっている、自分からその「皆さんもね、してるでしょ?」的楽しみが無くなりかけている予兆なのか?50代ともなると、確かに外に出ること自体がおっくうにはなってきている、海水浴やプールもそうだ、彼女のひとつでも作って流れるプールに流された後は場末のラブホテルで身体を流して欲しい、そんなことを考えながら今日は休日出勤日で布団に突っ伏しながら「ヒクヒクするの?ヒクヒクしちゃう!」みたいな独り芝居調の言葉をブツブツと呟き、起き上がるタイミングを見計らう光男、それはまさにダウンを取られても焦って直ぐには起き上がらずにキッチリ8カウント迄落ち着いて待つという某プロボクサーの対応力を光男なりにモチーフにした朝の起き上がり方であった、「ヒクヒク」のパターンと「ちょ、ちょっと待って、、え~!?」っていう「剥ぎ取りパターン」も有ったりする、それら数種類のパターンでお戯れをしているうちに段々馬鹿馬鹿しくなって来た勢いで起き上がるという戦法を数十年かけて編み出したのであった、もはや前段の金目当てがどうのこうのなどと宣う程そもそもオマエは金なんか持って無いのだから起床時に「ヒクヒク」言ってろよwと全世界から総ツッコミをされるであろう7月の光男であった、、

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