Nobokuma

金融業界での30年超の経験。前半は主に株式ポートフォリオのクォンツ運用モデルの研究開発…

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金融業界での30年超の経験。前半は主に株式ポートフォリオのクォンツ運用モデルの研究開発と実運用、後半は主に伝統と代替の両資産でのリスク管理と運用を担当。その後コンサルタントと非常勤教員を経験。2019年〜2023年7月ファンドマネジャーとしてFoHFsの運用を担当。

最近の記事

【読書メモ】是川銀蔵(最後の相場師と称される)の著書「相場師一代」

是川銀蔵(コレカワギンゾウ)氏の著書「相場師一代」は、彼自身の投資家としての経験と哲学を綴った自伝的な作品です。 是川銀蔵氏は「最後の相場師」とも称され、株式市場での顕著な成功と独自の投資戦略で知られています。 この書籍を通じて、是川氏は株式投資の難しさと、成功するために必要なメンタルや戦略について語っています。 最も印象に残ったのは、執筆動機です。当時すでにジャーナリストの筆による是川銀蔵氏の本は別に出版されていました。 是川氏自身は、自分では本を執筆することをずっ

    • 元ファンドマネージャの視点➖利食いと損切りの心理

      元ファンドマネージャの視点から、行動経済学における利得と損失における効用の非対称性と投資行動の関係について述べます。 実際の市場では、人々の意思決定が従来の経済理論が想定する合理的な行動から逸脱することがしばしば指摘されています。 特に、利得と損失に対する人々の感じ方には非対称性が存在し、これが投資行動に大きな影響を与えます。 この非対称性は、行動経済学のプロスペクト理論によって説明されています。 プロスペクト理論は、ダニエル・カーネマンとアモス・トヴェルスキーによっ

      • 【読書メモ】「勘違いが人を動かす - 教養としての行動経済学入門」

        「勘違いが人を動かす」では、行動経済学における、いくつかの認知バイアスが解説されています。 行動経済学は、経済学と心理学の間に位置する学問分野で、人々の経済的意思決定がどのように非合理的な行動や心理的要因に影響されるかを研究します。 私が本書の中でもっとも印象に残った認知バイアスは、インドのコブラの事例です。 これは、インドが英国の植民地だった時代に、首都デリーで毒ヘビのコブラが大量に発生しました。 政府はコブラの数を減らすために、コブラを捕獲して政府に持ち込むと報酬

        • 【読書メモ】長期投資家の「先を読む」発想法―澤上 篤人著

          本書は長期投資家として著名な澤上篤人(さわかみ・あつと)氏が10年前(2014年)に著した新潮社の単行本。副題として「10年後に上がる株をどう選ぶのか―」とあり、発行されてちょうど10年経過した今年(2024年)読んだ。 全体は3章で構成されている。 第1章 長期投資の心構え 第2章 「推」と「論」のフローチャート思考 第3章 フローチャートの未来予測 特に澤上氏が未来を読むために実践してきたこととして第2章『「推」と「論」のフローチャート思考』は目からウロコだった。

        【読書メモ】是川銀蔵(最後の相場師と称される)の著書「相場師一代」

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          円キャリートレードとドル・円相場-2023年以降は抑制気味

          円キャリートレードとは、低金利の円を借り入れて、より高金利の外国通貨で運用することで金利差益を得る取引のこと。 具体的には、日本の低金利の円を調達し、それを外貨、たとえばドルに換えて高金利国の資産で運用することで、金利差収益を得ることを目的としている。 この取引が活発になると、円売りが増えて円安要因となり、解消が進むと円高要因になる傾向がある。 円キャリートレードにおけるリスク指標には、外国銀行在日支店の主要資産があり、外国銀行の在日支店の資産が減少すると、円キャリート

          円キャリートレードとドル・円相場-2023年以降は抑制気味

          金価格が2024年にはいって急騰している謎

          Bloombergの配信メールに次のコメントがあった。 “Gold’s rally above $2,300 has been a conundrum for many analysts, particularly as Treasury yields remain elevated. While central banks and consumers are buying, outflows from gold-backed ETFs are puzzling.” (参

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          ヘッジファンドの中でAI(人工知能)を活用していると標榜するファンドの成績は個別ファンドの違いはあるものの全体としては振るわないようだ。

          ヘッジファンドの中でAI(人工知能)を活用していると標榜するファンドの成績は個別ファンドの違いはあるものの全体としては振るわないようだ。

          小学生向けのプログラミング教育が盛んである。プログラミングは、言語そのものを学ぶより、ロジックに慣れることが必要。特に論理演算と集合演算は役立っている。といってもJAVA入門編に苦労している。

          小学生向けのプログラミング教育が盛んである。プログラミングは、言語そのものを学ぶより、ロジックに慣れることが必要。特に論理演算と集合演算は役立っている。といってもJAVA入門編に苦労している。

          JAVAを勉強し始めた。かつてプログラミングを勉強したとき自分には向いていないと感じたことを思い出した。初めてのJAVAながらむつかしい。それは、ルールに沿わないプログラムがあるとエラーが表示される。それに加えてエラーメッセージがわかりにくいこともある。

          JAVAを勉強し始めた。かつてプログラミングを勉強したとき自分には向いていないと感じたことを思い出した。初めてのJAVAながらむつかしい。それは、ルールに沿わないプログラムがあるとエラーが表示される。それに加えてエラーメッセージがわかりにくいこともある。

          外国人投資家が投資しても円高にならない理由

          外国人投資家のお金は円に転換されていない。 これまでの定説では、円安だから輸出ドライブが効いて輸出企業の業績が良くなり株式が高くなると言われていた。つまり円安→日本株高。 ドル高/円安は、基本的に日米金利差でほぼ説明できる。 感覚としては、日本株高→円安とこれまでと因果関係が逆になっている。どうしてなのか。 外国人投資家のドル資金は、円転されずクレジットデリバティブなどを利用して運用されているのだろう。データを確かめる方法はあるのか。

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          元ファンドマネージャーの独り言

          ファンドマネージャーの仕事 機関投資家をお客さまとするファンドマネージャーには厳格な規制があります。 組織を通じて得られた情報を不特定多数に公表しないこと、自分の相場観を勝手に公表しないこと、などです。 自分自身も最近までファンドマネージャーとして組織に属していたため、規制に沿うよう慎重に行動してきました。 7月末で組織から離れましたので、ある程度自分の言葉で相場観を語ることができるようになりました。 ただ過去に所属していたときに得られた情報には守秘義務がありますため、触れる

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