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寡黙な私と一途なあなた

アラーム音が部屋に響くはずだったが、それなしに目に光が入ってくる。

「朝だ。」 学習して身につけたものからそう判断できる。

学習はそれだけに留まらない。
他にも感じられるだろうものは沢山ある。

焼けたパンの匂い。鼻歌交じりのあなた。

誰かに尽くすのが好きだと逐一言っていたあなたの顔は、窓から差してくる陽光と重なってよく見えなかった。

『おはよう。ご飯作ってるの?』

そのように口を動かそうとしたが、現実にはそうならなかった。

「…」

何をどうすればいいのだろう。

でも、でも、私からはとてもじゃないがアクションを起こせなかった。

あなたは口を噤んだまま、鼻歌を続ける。

間もなく、私の前に朝食が現れた。
とても簡単で、それでいて温かな朝食。

こんな品物を2人で過ごすようになった日から、今の今まで欠かさず作ってくれた事に感謝の意を覚えないはずがないんだ。

何故この意を伝えられないんだろう。

自分が情けなかった。自分を許せなかった。

でも、でも、あなたは毎日こう言ってくれる。

だからこそ、あなたを選んでよかったと思えるんだ。

「私はずっとあなたと一緒だよ。すぐにまた逢えるから、その日まで少し待っててね」

こうやってまたあなたの1日が始まった。

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