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「何かあったのかい?」のことばがすべてを取り払ってくれた

「何かあったのかい?」

突然、Twitterで話しかけられた。

Twitterで知り合い、遠く離れた場所に住んでいる彼女と私は毎日のようにTwitter上で話をし、ライブの遠征であちらこちら一緒に行った仲だった。

ビックリして大丈夫だよ、とっさに答えたけれど、でも本当はぜんぜん大丈夫じゃなかった。

毎年、父の命日が近づくにつれ、意識するとかしないとか関係なく、何をしても集中できずに、ただぼんやりと1日を過ごすことが増えてくる。今年もまた来たんだなと実感する。

その日、私はTwitterのアイコンを何度も変えていた。今となっては何故そんなことをしていたのかさっぱり覚えていない。

最終的に私は一番好きな写真をアイコンにした。そんな私を彼女はずっと見ていたそうで、いつもと異なる雰囲気を察し、話しかけてくれたのだ。その写真が私がもっとも好きなことを、彼女が知っていた。

大丈夫だよと答えたあと、彼女に電話をした。父の命日のこと、毎年何もやる気がない日々が続き虚無感に苛まれることを初めて人に打ち開けた。

ずっと、誰かに助けてもらいと思っていた。この暗い淵からすくい上げてもらいたいと、何十年もそう思い続けていたけれど、それが叶うことはなかった。

「助けて」という言葉を私は口にできなかった。どう助けてほしいのか、私自身が分からなかった。そんなことを言ってしまったら人を困らせてしまうし、何よりも些細な言葉で傷つくのが怖かった。

気持をうまく説明できないのに、どうしたの?何があったの?どうしたらいいの?と質問をされてしまうのではないか。そしたら私はさらに追い詰められる。言わなければよかったと絶対に後悔する。だから、うずくまって助けてとつぶやくしかなかった。

勝手だと思いながらも誰かに気づいてもらいたかった。

悲しくて泣いているとき、誰かから電話かかってこないかなとか思っていた。けれどそんな都合の良いタイミングなど訪れるわけもなく、泣き疲れて眠るを繰り返していたけれど、でもやっと巡り会えた。

うずくまっている私の前で、彼女はTwitter越しで手を差し伸べてくれた。

「何かあったのかい?」

思うことは他にもあっただろう。
でも、私の性格をよく知っている彼女らしい優しさあふれる言葉だった。

何もツイートせずに黙々とアイコンだけを変えている私を見て、口に出すことができない気持ちを察してくれたから「質問」をしてくれたんだと思う。

そのとき、あー、そっか、私はどうしたの?とか、そんな風にを聞かれないと自分からしんどいと言えない人なんだな、ということを知った。

命日が訪れるにつれて悲しみに苛まれていたのは、父の不在による寂しさ以上に、その気持ちを誰にも言えなかったこと。

あれから3年の月日が経ち、彼女に電話で何を話したのか覚えていないけれど、でも何十年も襲ってきていた虚無感が嘘のようになくなった。

そんな彼女とはしばらくして疎遠になってしまったことで、虚無感が消えた理由が彼女のおかげだったことにすぐに気づくことができなかったけれど、ある曲を聴いて気がついた。

その曲は、彼女と過ごした楽しい日々がめいいっぱい凝縮されていて、そんな思い出を振り返ったとき、手を差し伸べてくれたことも同時に思い出され、私自身の本当の気持ちを知ることができたし、改めてTwitterってすごいなって思った瞬間でもあった。遠く離れていても心は通じる。

あのとき、救ってくれて、ありがとう。
私も、あなたのように小さな違和感に気付ける人になりたいと思う。

大声で叫んだ
みんなで叫んだ
どうしてあんなに
未来を気にせずに
笑った語った
遊んだ荒ぶった
How do you feel now?
安室奈美恵 How do you feel now? 歌詞 - 歌ネット -  https://sp.uta-net.com/song/239386/



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最後まで読んでいただきありがとうございます。頂いたサポートをどのように活用できるかまだわからないです・・・。決まるまで置いておこうと思います。