見出し画像

自由と幸福の概念比較

既にその人が自由であるならば、対象を厳密に修正する必要がそれ以上ないということである。それ故に、自由であることは真である。それが自他に於ける自由なら尚更である。

ならば、自由と幸福は、何が共通して何が相違すると言えるだろうか。両者は高い類似性を備えているように思われるだろう。まず、共通点を挙げるなら、それらは欲望の充足した状態であり、その状態にあるなら、それ以上の修正可能性を持たないということである。そしてさらに、「自由度」や「幸福度」という言葉が示すのは、それらは、欲望の範疇に於ける有限な概念であるということである。そしてまた、自らの範疇を超えた自由や幸福を追求することは、欲望を制御できない状態であり、その状態に於ける人は、自由でも幸福でもなくなってしまうということだろう。

対して、相違点から得られることは、「自由であることは幸福であるが、幸福であることは自由であるとは限らない」という関係である。何故なら、両者は、欲望の充足した状態という共通点はあるが、自由の方が幸福の基礎的な条件だからである。そもそも、人が幸福たり得るためには、不足を充足することが欠かせない。例えば、空腹の際に飲食をして幸福を感じるためにも、大抵は経済的自由がなければならないだろう。それ以外でも、様々な面で自由は幸福を支えているわけであるが。だが、自由が直接的なものになっている場合、すなわち自由の感度が鈍っている場合、自由を当然のものとして考えるので、自由を感じることは幸福を感じることよりも少なくなる。はじめは自由を感じていても、やがて分からなくなるのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?