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感動した建築:後藤昭夫藝術館編

こんにちは。
佐藤研究室修士1年の大津留です。

佐藤研究室では、設計のヒントを探る「感動した建築」の発表を行っています。今回は5月に発表した「感動した建築」の第3弾です。第1弾の 前川國男邸 編、第2弾の松原市民松原図書館編も是非チェックしてください。↓↓↓


今回、私が感動した建築である「後藤昭夫藝術館」について紹介していきます。

岐阜県関市にある、住宅街に佇む藝術館です。
この建築は、多様な光の使い方による空間の演出が魅力です。

 

到着してすぐに問題発生。入り口がわからない!!!
入り口を探るべく、周辺をウロウロ。。。
ここっぽいなあという場所を何度か通り過ぎましたが、勇気を振り絞り扉を開けてみると、当たりでした!

建具が、入り口なのか窓なのか、悩ませてきました。。

 

そんなことはさておき、空間の感動ポイントについて話していきます。

感動ポイント① 見えない何かが可視化される光


入ってすぐに左上から光が差し込む空間が広がります。
壁を伝って光を可視化していたり、砂利を剥げさせることで、光の先には目に見えない”何者か”が存在しているような気配を感じます。

写真1

写真1の光が落ちている場所から入り口を見ます。
内部に砂利があり、エントランスは土間が打ってあるため、内部と外部の認識に錯覚が起きます。
エントランスは天井高を抑え、下部の草木が見える高さに暖簾をかけることで、外の草木が地面と右の壁面に反射し、緑の空間が出来上がります。

写真2

感動ポイント②見えない何かが可視化される光2

入り口から奥を見ると、正方形の窓から光が差し込み、中心に置かれているベンチを照らすことで、”何者か”がベンチの上を歩いて光に溶けていくような感覚になります。(普段は中央のベンチの蓋は閉じています)

人間が荒々しい脇の砂利道を歩き、”何者か”が中央の舗装された部分を歩いていく・・・そんな雰囲気を味わえます。

写真3

感動ポイント③多様な光を落とす天窓

天窓による光の落とし方にも感動しました。
写真4の上部に天窓があることがわかります。
一見、光は壁を伝って台を照らすためのものかと思いきや、台の左側にかけてある絵にも光を注ぎます。

写真4
写真5

写真6を見ると、天窓から左上に落ちた光と、絵のシルバーの部分が重なり、
建築的な操作とアートが美しく共鳴しています。

写真6

写真6も同じ天窓からの光です。
先ほどまでの光の落ち方とは違います。左の壁に飾ってある絵を優しい光で照らしながらも床に強い輪郭を持った光を落としています。

写真7

同じ天窓から、こんなにもたくさんの種類の光を内部空間に落としているというのは、とても感動するポイントでした。

居心地の良い居場所を見つける

後藤昭夫藝術館には、座れる場所がたくさんあります。
そして、どこに座っても居心地が良いため選ぶことは難しい。。。💦

しかし、選ぶとしたら、自身は写真8の壁と一体になったベンチが、この素敵な空間を独り占めしてしている気分になり、居心地が良いと感じました。
正方形の窓から差し込む光が床→壁→天井と反射し、光を緩やかに和らげていきます。どの光も心地よく、でも、いろんな表情を見せてくれる、おすすめの場所です。

写真8
写真9

冒頭に話した”何者か”の雰囲気は、空間の至る所でみられました。
空間の至る所に工夫が見られ、建築家のこだわりが感じられました。
キャンドル台の位置、引き戸の工夫、灯籠の設置方法、、、など!感動ポイントは至る所に散りばめられています。
など、ぜひ行って考察してみてください!

(修士1年・大津留)


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