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通訳ガイドって?(1)

こんにちは、Akiです。

ふだん「通訳ガイドの〇〇」というような記事を書いています。
でも「通訳ガイド」って何者なのか、あまり知られていないですよね。
今回は「通訳ガイド」について、私の経験もまじえてお話しいたします。

なお、この記事は私個人の経験から語る「通訳ガイド」ですので、一般的な通訳ガイド像とは異なる場合があることをお断りしておきます。

通訳ガイドとは?

通訳ガイド(または通訳案内士)とは、簡単にいうと、来日した外国人を相手に、有料で観光案内をする仕事です。観光ガイドをイメージしていただくとよいかと思います。
同様のことを無料で行う場合は、ボランティアガイドと呼ばれます。

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「通訳」とありますが、一般にイメージされる同時通訳を行う「通訳者」とは大きく異なります。
通訳ガイドは観光地を外国語で案内し、買い物や食事のときなど、外国語が通じない日本人とのコミュニケーションを仲介する(意味が通じる程度の通訳)仕事が主になります。

通訳ガイドは通訳案内士とも呼ばれ、国家試験に合格した人のみが「全国通訳案内士」の資格を得て、その名称を使うことができます。

日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトでは次のように説明されています。

<全国通訳案内士>
全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」とされています。全国通訳案内士は国家試験に合格した方であって、高度な外国語能力や日本全国の歴史・地理・文化等の観光に関する高い知識を有するものであり、「全国通訳案内士」として都道府県の登録を受けた方々になります。

私が通訳ガイドになった理由

通訳ガイドのことをはじめて知ったのは10年ほど前、箱根を旅行中に、外国人旅行者を連れた通訳ガイドの方と出会ったことでした。

当時の私は会社員で、海外支店の外国人が来日したときなど、仕事の合間に彼/彼女らを連れて東京都内を案内したり、食事や飲み会などで、つたない英語ながらもお互いの国の生活習慣や文化について語り合ったりして、外国人との交流を楽しんでいました。

その経験が、通訳ガイドの仕事に通じるものを感じ、旅好きだったこともあって、私は通訳ガイドというものにとても興味を持ちました。

その後、会社を退職し新たな道を模索していたとき、2020年の東京オリンピック開催が決まり、インバウンドが注目されていました。

もともと人から指示される仕事は好きではなかったので、個人で自由にできる、そして定年のない働き方として、通訳ガイドを目指すことにしました。

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通訳ガイドになるためには?

基本的には、国家試験である「全国通訳案内士試験」に合格することが前提になります。

試験に合格しなくても、通訳ガイドの仕事をすることは違法ではありませんが、「全国通訳案内士」の資格があったほうが、仕事を得る上で有利な場合が多いです。(※)

「全国通訳案内士試験」は難関といわれます。1年に1回しか行われません。

試験は筆記試験(マークシート)と口述試験があり、語学力と日本の地理・歴史や政治・経済などの知識、そして通訳ガイドとして活動する上での実務的な知識が問われます。

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この試験の本質は、日本の文化や社会のことを外国語で説明できるか?ということです。

例えば通訳ガイドとして、外国人のお客様を有名なお寺に案内したときに、お寺とは?、仏教とは?、あの仏像は誰?、神社との違いは?、日本人にとってお寺とは?、などなど外国人の疑問に外国語で答えられなければなりません。

これには、日本の自然・地理・歴史・政治・経済といった知識を前提に、それを外国語で表現する力が必要となります。

2018年からは「通訳案内の実務」という科目が追加され、通訳ガイドの現場で必要とされる知識(法令、トラブル対応、異文化への理解など)も求められています。

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私の場合、合格までに2年ほどかかりました。日本の歴史や地理は好きだったのですが、外国語(英語)はそれほど得意ではありませんでした。

通訳ガイドの試験勉強を始めたころは、TOEIC(旧形式)のスコアは700点くらいでしたが、半年くらいの集中勉強で何とか筆記試験は滑り込みセーフ。
でも口述試験では通用せずに不合格でした。
さらに1年間勉強して、2年目にようやくクリアできました。

試験勉強は、覚える内容が多くて大変なことは事実ですが、あらためて日本について知ることは、結構楽しい時間でもありました。

それまでの人生では気にも留めなかったこと、日常の習慣として当たり前に行ってきたことの意味や理由を知ることは、目から鱗が落ちるようでした。

自分が日本文化のことをほとんどわかっていなかったことに気づく一方で、それを知ることができた喜びは大きく、もっと日本のことを知りたいと思うようになりました。

試験準備は独学でもできますが、語学学校などの全国通訳案内士試験対策コースで、合格に必要なスキルを体系的、効率的に学ぶことができます。
同じ目標を持つ生徒さんと出会うことができるので、交友の幅が広がるとともに、合格後は通訳ガイドとしてのネットワークを築くことができます。

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私は、語学学校で全国通訳案内士の試験対策コースを受講しました。
私の語学学校での体験記が下記にあります。

最後に、英語で日本を紹介する雰囲気が味わえる本を紹介します。
私が語学学校で指導を受けた、江口裕之先生(NHKテレビ英語講座「トラッドジャパン」の講師を務めた)の著作です。
私にとって試験勉強中、そして今でも手元で参照している、バイブルのような本です。

次回は、全国通訳案内士試験に合格した後に行うこと、通訳ガイドとしてデビューするための準備、などについて書いてみたいと思います。

※以前は、国家試験に合格した人にのみ「全国通訳案内士」という資格・名称が与えられ、それ以外の人には通訳ガイドの仕事をすることが許可されていませんでしたが、規制緩和により、2018年からは誰でも通訳ガイド業務が行えるようになりました。
「全国通訳案内士」以外にも、地域を限定した「地域通訳案内士」という資格もあります。

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