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【ロアッソ熊本】元駒大記者が語る 今季新加入・土信田悠生のここを見てくれ!

ロアッソ熊本サポーターのみなさま、お久しぶりです。宮下です。3年前の中原輝企画以来の再会となりました。あの時にたくさんのお声をいただいたからこそ、いまの私の活動に繋がっています。

さあ、ここから2本立て続けにいきましょう。先ずは今季新加入のエース候補・土信田悠生について書いていきます!

名門・駒大の鍵を握るセンターフォワードとして多くの先人から薫陶を受けてきた土信田は、昨年その才能が大きく開花。リーグ戦の大学歴代最多タイのゴール記録、終盤の7試合連発と伝説級の活躍を見せました。卒業後は、先日のトレーニングマッチでも広島を相手に2得点と吉報も既に入ってきています。そんな土信田の魅力について語っていきますので、ぜひともご覧ください。

○曇りのち晴れ 結果で応えるスーパーエースに

☆思うように掴めなかった自分の間合い

下級生時代に取材をしている中で見てきた彼の出番はなかなか辛い場面が多かった。デビュー戦は2点ビハインドでどうしても得点が欲しいところだったし、その後は先輩の負傷による緊急出場やマークが自然と集中してしまうシチュエーションに。正直あの状況でうまくやれという方が難しい。

競り合いでは屈強なCBを前に勝てず、空中戦に跳ぶことすらままならない状態だった。現栃木の小野寺健也(明大)や現山口の眞鍋旭輝(桐蔭大)との対戦は防戦一方で、ピッチ内外から厳しい声が寄せられていたこともしばしば。監督からはめちゃんこに吠えられて、先輩からもあちこちから指示が飛ぶ。よく新人OLが奮闘する系の漫画にあるドタバタ劇を見ているようだった。

印象に残っている試合は土信田が2年時のアミノバイタルカップ・明大戦。その試合は当時主将の星キョーワァン(現いわきFC)が前半に負傷退場し、スコアでもビハインドを追う状態だった。後半途中から投入された土信田は、2トップを組んだ当時のエース・高橋潤哉(現福島ユナイテッドFC)からこんな言葉を受ける。

「土信田!自分のペースで跳べ!」

ピッチサイドでこの言葉を聞いた時に、私はハッとした。「彼が弱いのではなく、自分のペースがまだ見つかっていないのだ」と。思えば、ポジショニングを合わせる⇨相手との距離をとる⇨飛ぶ⇨競り勝つ、というプロセスの中で相手に合わせてしまうことが多かったのだ。

ただ、下級生時代であっても新人戦など同年代とのプレーを見ていれば見違えるように跳べている、勝てている。順当に進んでいけば間違い無く芽が開く、そんな片鱗は見せていた。

☆もはや格上相手にも動じず。得点量産のゴールゲッターへ

2020年・3年次からは出場機会を増やし、徐々にゴールも奪えるようになってきた。正確なシュート力もあったのでPKキッカーを任される場面もあり、チームでの信頼が窺えていた。一方でスタートから起用されるシーンは少なく、空中戦の強さで上回る同級生の宮崎鴻(現栃木SC)に序列の上で後陣を拝していた。

そして4年生。背番号10を背負った男は見違えるような進歩を遂げていた。体躯も下級生時とは見違えるほど強靭になっていたし、もとより高かったシュート精度もその正確さを増していた。

空中戦ではいち早くポジションを取り、相手には競り負けない。体格で上回る相手であっても頭ひとつ抜きに出ているケースも。天皇杯・SC相模原戦ではJリーガー相手にも対等以上の競り合いを披露するほど「自分のペース」を磨き上げていた。

何よりシーズン20発以上を叩き出した得点シーンも多彩そのもの。密集地帯を瞬く間に抜け出すワンタッチゴールや右足のコントロールカーブなど技巧派な一面と、高さと強さを生かした理不尽ヘディングシュートの力技を兼ね備えた“スペシャル・ワン”そのものだった。

前からの守備も欠かさず、連続性のあるプレスで相手のビルドアップを陥れることもできる。駒大で鍛えられた運動量を資本に、ファーストディフェンダーとしても機能することができる。土信田が奪ってからショートカウンターが成立する場面も多く、この面でもチームを助けることができるだろう。

○熊本への入団はもはやベストマッチ。高橋利樹×谷口海斗のハイブリッドへ

熊本への内定が決まった時「そりゃそうじゃ」と思った。
近年同チームで目立ったFWといえば、ゴール前のワンタッチゴーラーである高橋利樹と正確なシュート力で得点を量産した谷口海斗の2人であろう。まだまだ荒削りではあるものの、彼らの強みに近いものを持っているのが土信田悠生そのものである。

(動画2:05付近、土信田のコントロールショット)

(再生したら土信田の得点シーン。絶妙な飛び出しからヘディング)

上記にあるように、ゴール前でプレーさせれば多彩な形からゴールを量産すること間違いなしだろう。大方の予想では高橋利樹との2トップ形成と見られているが、相手のマークが集中することもなく自由度高くプレーできるはずだ。高橋や元熊本の北村友也(現テゲバジャーロ宮崎)がルーキーからブレイクしたことを見れば、その再現性やそれ以上のポテンシャルが土信田にはある。

○ゴールパフォーマンスはプロで改善して欲しいナ

顔もかっこいい、スタイルもいいので写真映えする。ただ、サッカーのカメラマンとしてはエースの得点後の勇ましい姿をバッチリ収めたいところ。

試合後コマスポのメンバーで集まった時には大体その日の写真の取れ具合を確認するが、こんな声がよく聞かれる。

「土信田が見事に反対側に走っていってしまった」
「後ろ姿がゴールネットに被ってしまってピントが合わない」

なぜか、この現象がたびたび起こる。シチュエーション的には仕方ないのよ。わかるのよ。新人戦の決勝も先制点の場面でアナタ走っていったね、誰もいないファーサイドに。笑

いいのよ、インカレ決勝はテレビ朝日のカメラの前を颯爽とサラサラヘアーで通っていったから。私はそれも土信田の進化のひとつだと信じている。

○最後に

見る見るぐんぐん成長していった悠生、
リーグ戦最終節の後に話した時は凛とした目つきでギラギラしてたのを覚えています。

ここに書いたような過去の話をすると「そんなこともありましたね!」と笑顔で振り返ってくれて、その表情からは今の成長と自信が確かに宿ってました。

みんなが安心して試合を見ていられるのは「土信田が獲ってくれる」その安心感をゴールと一緒に積み上げたからこそだと信じています。

熊本での期待感を超えて、世界へと羽ばたく男になってくれ!
大学の時は夢を見せてくれてありがとう!これからもよろしゅう。

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