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【AI漫画実験/第4回】画像AIのDALL-E3+Adobe Ps+SDXL+加筆の合わせ技で、超速でカラー漫画が作れないか実験してみた

これは「今までガチガチに手描きで漫画を描いてきた奴が、AIをフルに作って漫画を作るとどうなるか」という実験の記録・第4弾です。
前回と、今まで作成したAI漫画まとめ読みkindle(無料)はこちら。

今回の実験の目的は以下になります。
■構図作りにDALL-E3とAdobe Psを併用するとどれだけ時短ができるか
AI画像とわかるAI漫画で、それが描かれた「技術」より「内容」を面白いと思ってもらうにはどうしたらいいか

それと、今回の漫画を例に下記についても書きました。
これはAIとは直接関係がない、漫画のネーム技術の話になります。
■AIのような扱いの難しい題材でギャグ漫画を作る時のネームのコツ(投げ銭用おまけ)



■構図作りにDALL-E3とAdobe Psを併用するとどれだけ時短ができるか

結論から言うと、こちらの漫画「AIずきん」11Pの原稿作成にかかった時間は1日半です(ネームは除く)。

丸一日ずっと作業していたわけでもないので、ポストした時は製作時間1日表記でいいかと思ったのですが、具体的には製作開始から完成まで1日半かかってます。途中DALL-E3(chatGPT4)の上限が来て作れなくなっちゃったので…。
前の漫画実験のSDXL単体で作るより、DALL-E3→Adobe Ps→加筆+SDXLという流れで作った方が作業時間は3倍は速くなりました。速度を優先したため前よりも仕上がりは雑なんですが、web上で見る分にはこのくらいのクオリティで十分かなと。
以下に今回の制作手順を簡単に説明します。


1/DALL-E3で構図を決める

2023年11月中旬現在、外見の違う複数人指定など難しい構図が出しやすくプロンプトの通りがいい画像AIは間違いなくDALL-E3(chatGPT4)です。よって、構図はDALL-E3で作ります。
今回はネームはセリフのみで絵を決めず、こんな感じの状況~という適当プロンプトをDALL-E3に投げて、良い絵が出たら採用、の流れにしました。最初に絵や構図をガッチリ決めてしまうと、その通りの絵がガチャで出るまで固執し時間がかかるためです。
いくつか案を出してもらって、1Pの2コマ目は↓これを採用しました。


2/Adobe Psで修正・拡張

コマに当てはめて左右反転してAdobe Psに持っていき、生成塗りつぶし・生成拡張を使ってi2i用の種絵作りをします。
増えた女の子を消し、お母さんは膝の上にバスケットを持たせ、左右の黄色いもや部分の背景を詳細に描きこんでもらい、コマの大きさに合わせて左の背景を拡張します。
DALL-E3は人物を中心にした構図が多いので、左右の背景拡張は本当に助かりました。後でSDXLでi2iして整えるので描写はある程度雑でいいですし、このくらいの拡張ならSDXLでやるよりPsの方が断然手軽で速いです。この作業はまさに一瞬で終わります。


3/人物の衣装などを加筆してSDXLでi2i&インペイント

衣装の整合性を保つため加筆して、SDXLで低デノイズi2i&インペイントして画風を整えます。デノイズはその時々によって0.2~0.5くらいの数値を入れました。
セリフを入れ、完成したものが下になります。

ひたすら同じ作業を全コマやって、原稿作業は完成です。
おまけ↓



■AI画像とわかるAI漫画で、それが描かれた「技術」より「内容」を面白いと思ってもらうにはどうしたらいいか

私の作ってるAI漫画はAI技術の実験目的のものですが、せっかくなのでやっぱ内容も見て欲しいな~と思いまして。でも自分でも、AI漫画を読む時って「どんな技術で描いたんだろう」という気持ちが先行してしまい、内容の面白さが中々頭に入って来ないんですよね。なので「AIで描かれた」のを気にせずに内容を面白く思ってもらえるにはどうしたらいいか?と、漫画実験第3回が終わった辺りから、内容について考えるようになりました。
まず普通のシリアスは難しいと思いました。
私自身がシリアス漫画で人を惹き付ける技術に自信がないのもありますし、シリアスって没入するまで時間がかかるので気が散りやすそうだなと。おそらくよっぽどスピード感がないと技術の方に目が向く隙が生まれやすい。そんな難易度の高いシリアスネーム自分には描けない。なのでシリアスは没。コメディやラブストーリーは漫画実験1~3回で試してて、既に結果が出てるので没。
では技術の方に目が行く隙を与えない、スピード感のあるギャグはどうか。
かつAIネタのギャグならAI生成物そのものをネタにでき、AIと作劇が一体となった「作品」として、抵抗なく読めるかもしれない…

…みたいな事を真面目に考え、ノリで作りました。
そして出来たのがAIずきんです。 
私が真面目なばっかりに大惨事になってしまい申し訳ございません。


その結果ですが、漫画実験第3回までの反応は技術7~8:内容2~3くらいだったところ、第4回の「AIずきん」は技術1:内容9くらいの反応でした。AI技術よりも漫画の内容についての言及が圧倒的です。
AIネタはメタ的な飛び道具でズルい感じもしますが、AI作画とわかる漫画で技術より内容を面白いと思ってもらう、という目的は達成できたのでヨシ!
AI漫画制作の実験はしたいけどネタの方が有限でポコポコは出せないな~と思ってましたが、AIネタならまあまあ出るし、AIネタって現状手描き漫画ではできないので、AI実験漫画は今後もAIネタでやっていこうかなと。


漫画はネームに力があればどんなに絵が下手でも面白い。AI生成作品でも内容を工夫すれば「面白さ」で読んでもらえるようです。今はまだ画像AI黎明期で、作る側だけでなく読者側もAI生成物に慣れていないと感じますが、数年後には状況は全く変わっているかもしれません。画像AIを取り巻く状況がどうなっていくのか、これからも注視していきたいです。




※普段はフリーでクリエイター系の仕事をしております。
AIを活用できる仕事にも興味があるので、お仕事の依頼がありましたらnoteの「お問い合わせ」もしくはnobisiro2023@gmail.comまでご連絡ください。よろしくお願いいたします。



今回は私の活動を支援してくれる方への投げ銭用有料コーナーを作りました。投げ銭用のおまけですので、AIとは直接関係がない漫画制作の技術の話をします。
内容はこちら。ノリで書いたら無駄に長くなった…

■AIのような扱いの難しい題材でギャグ漫画を作る時のネームのコツ(投げ銭用おまけ)

AIずきんを例に、今回のネームやセリフで何をどのように気を付けたかを具体的に説明します。

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