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|1007-1015|対話#日誌 #01

毎週月・金曜日の20時更新 演劇ユニットせのびの稽古場の様子をお届けする日誌。

【10月7日(水)~11日(土)】

今回せのびが挑戦するのは劇団はえぎわの『踊るよ鳥ト少し短く』という脚本。出演するのは演劇ユニットせのび旗揚げ時からのメンバーである髙橋響子・藤原慶。そこに、弾き語りや作曲などの音楽活動をおこなっている千葉美紀依さんが「演奏」として参加する。彼女にとってはこれが演劇デビューとなる。

稽古がすこーしずつすこーしずつ進んでいく。ちょっと進んで立ち止まって、戻って、進んで、また立ち止まる。せのびの稽古は大抵スピードがゆっくりだ。演出も役者も少しずつかみ砕きながら方向性を決定していくので「これじゃあゆっくりすぎるかなあ」と村田がつぶやくこともしばしば。

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(役者二人の様子をじっと見つめる千葉美紀依さん)

既成脚本を扱うため「そうかあ、ここはこういう風になるんですね~」と、稽古をしながら本の解釈を進めていっている。声の出し方、音程、強さ、話す速度など発話ひとつをとっても選択肢がたくさんあり、髙橋も藤原もこれまで自分が演じてこなかった性質の役に対して頭を抱えながらも食らいついている。
今回演出が役者に求めているレベルは今までよりも高い。挑戦。

藤原のコミカルさと、髙橋の声質の重さが役にどう影響していくのか。会話を積み重ねていく本なので、互いが言葉によって影響を与え合う様がより際立って見える。役者間での対話をしていく。

美紀依さんの演奏がどのように作品の中に入ってくるのか楽しみで仕方ない。

【10月14日(水)】

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藤原、髙橋でみっちり稽古。
といってもやはりスピードはゆっくり着実に、なのであるが、稽古を重ねるごとに土台の部分がしっかりとしてきているようだ。

「会話をしましょう」と村田が言う。互いにしかけあってヒリヒリするような空気をつくりましょう、と。
舞台上での立ち方や、演じることについて演出の村田はたびたび話をするのだが、役者の髙橋がそれを理解しているのかどうかは疑問が残る。今日も、村田が電車のたとえ話をしていて、それをもう一度髙橋に説明しなおしてもらったところ「電車を乗り過ごしたら次のやつに乗ればいい」というようなことを言っていた。きっと、彼女自身の中ではしっかり理解できているのでしょう。

演出と役者での話し合いがとても多く、お互いに意見や感想を出し合いながら演出をつけていっている。村田の言葉に藤原が「うんうんうん」とうなずく様子をよく目にする。役者同士の対話をつくりあげるために、役者と演出の対話もしっかりとおこなっていく。

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役者二人の演技を見守る村田の表情がきらきらとしていて、とても楽しそうだ。「いいかんじです」と話す姿もどこか満足気。

【10月15日(木)】

「ジャズだから」この言葉をよく稽古場で耳にする。「ジャズだよ」。
2月に上演した「ロマンス」の稽古場でもこの言葉をよく聞いた。
あまり固めすぎずにいきましょう、ということで、そうするためには相手のことをよく見ていないといけない。よく見ることと、よく聞くこと。

この相手、というのは自分以外の役者のことでもあり、観ているお客さんのことでもある。

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せのびで稽古をするとき、役者が途中で止めることもOKということになっている。「すみません、ちょっとここは今の感じじゃ読めません」だとか、「ちょっと今の言葉の投げ方だと次の台詞が出ないと思います」といったように。
たいていは止まることなく進んでいくが「いま、全然自分で腑に落ちてないまましゃべったでしょ」と演出が途中でストップをかけることもある。
本番は、始まったら最後まで駆け抜けるしかないが、稽古場では止まりたいところで止まるのもありでしょう、ということからだ。

土台の部分がしっかりとしてきたことによって、だんだんと役者も息がしやすいようになってきたように見受けられる。心地よくなりすぎず、お客さんとの対話をしっかりとしながら面白い演劇をつくっていく。ジャズ。

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【チケット販売開始】

明日、10月17日(土) から「踊るよ鳥ト少し短く」のチケットが販売開始となります。

プレイガイドでの販売は行わず、チケットフォーム電話等での販売となります。当日券につきましては予約状況により発売の可否を決定いたします。

前売り:1,000円
当日:1,200円
mフレンズ:800円
共通回数券:5,000円 
※共通回数券(7枚綴り)は盛岡劇場でのみ販売。

盛岡劇場の窓口 または 下記電話番号からもご予約いただけます。
TEL:019-622-2258(盛岡劇場タウンホール)

<お問い合わせ等>
TEL:080-1850-9357(村田)
MAIL:engeki.senobi@gmail.com
Twitter:@nobinobi_senobi


日に日に寒さが増して来ましたが、体調管理をしっかりとして公演の準備を進めていきたいところです。せのびにとって「挑戦」となる今回の作品。
ぜひ皆様に観ていただきたいです。
つくっている側としてもまだゴールは見えていない段階ですので、この稽古場日誌を通してその様子を随時お伝えしていきたいと思います。


次回の投稿は 10月19日(月) です。
ではまたここでお会いしましょう!
〈文・写真 石橋奈那子、写真 工藤早織〉

02「決める」はこちら⇒


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