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|1026-1029|からだ感覚#日誌 #05

週月・金曜日の20時更新 演劇ユニットせのびの稽古場の様子をお届けする日誌。

【10月27日(火)】

タウンホールでの感覚を思い出しながらの稽古。

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なんだか今日は最初からパワーが強めで、動きが大きく、声もよく出る元気な役者たち。
土曜日のタウンホールでの稽古が影響しているのか、または、稽古の序盤で村田が「はずかしいことを理解して、はずかしいことをやる」という話をしたからか。

せのびではこれまで「演じない演技」というものをベースに表現してきました。

村田の言う「表面の演技」とは、独りよがりの演技のこと。自分がどう表現しようか、ということだけを考えて、それはすなわち、相手のことを考えずに、演技をしてしまうということ。

「演じない演技」とは、それらの演技をしてしまうことを「恥ずかしい」と認知し、演技で何かを隠そうとしたりせずにありのままでいる(ように演技)する、ことを指しています。

ですが、今回は「表面の演技」を恥ずかしいものだと自覚したうえで、それに逃げずに、「恥をかく」ということを役者に求めています

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一度、自分の中でかけている制限を外してみたり、面白そうと思ったことをどんどん試してみたりと、エネルギーの出力を0~100まで用意しておいて、その範囲の中でアクセルをグンと踏む、または急にブレーキをかけてみるということをしています。
今年で演劇を始めて10周年を迎える藤原は、特に気合が入っている様子。
自分の持てる全ての要素を使って役を作っています。

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「もっと台詞のアタック強めで」という村田の指示にもかなりレスポンスの速い役者2人。これまで村田と一緒に創作をしながら鍛えられてきたことがよく分かります。
「自分が書いている本だと最初から演出プランが決まっているけれど、他の人が書いた本だと決まりきらずにいろいろと試しながら演出がつけられる」と村田も嬉しそうに話します。

自劇団の役者とだからこそ生み出せるスピード感で稽古を進めていきます。


【10月28日(水)】

本日、藤原はおやすみですが
ダンス指導としてダンサーの山手 清加 (やまて しずか) さんを稽古場にお迎えしました!

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村田と山手さんは2018年の Cyg art gallery『雲は透ける、ペーパーナプキンにあこがれて』以来、何度も一緒に作品作りをしています。
村田の演劇作品の中で振り付けをしてもらうこともあれば、山手さんがダンサーとして村田の作品に出演したり、逆に、村田が山手さんの作品でダンスをしたり。
言語で考える村田と、感覚で捉える山手さんとでは思考のタイプがかなり違いますが、何か通じている部分がある様子。

さて、稽古に入りますかというところで、台詞を喋ったり動いたりする前に、まずは、身体を温めて空間を自在に動けるようにすることから始めました。山手さんが髙橋の体を手でさすったり揉んだりしながら、骨や筋肉の部分から体をほぐしていきます。
固まりがちな鎖骨下の胸の部分、冷えてしまいがちな手先指先など、自分で身体をほぐす際に注意すればよい点についても教えていただきます。

身体がある程度ほぐれたら、続いて、実際に役者が演じているのを見ながら所々で思ったこと・考えたことを話していただきました。

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たくさんお話をしていただいた中で、その一部分がこちらになります。

・動くときのベクトルスピードはダンスにおいて重要な要素。
身体的・精神的に、開いているのか閉じているのかを意識する。
・自分の会話でのスタンスや感情などを身体でも伝えること。例えば、「話に興味がない」だとか「あまり相手に良い印象を抱いていない」ということも身体で見せられる。
身体をどう使うかのヒントは台詞の中にある。言葉を身体に変換する。

などなど。
「もっとおもしろくなるよ!」と山手さんに激励されながら、感情を身体で表現する髙橋です。

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今日の稽古場には、即興でピアノを演奏してくださる千葉さんと、ダンスのアドバイスをしてくださる山手さんがいらっしゃったため「これは、鬼に金棒にしましまパンツです!」と村田が言うほど、創作をする場として豊かな環境でした。

台詞を話したり、場面ごとの動きを覚えたり、お客さんとの関係性を意識したり、踊ったりと役者ってほんとうにやることが多い。頭でっかちになりがちですが、理詰めになりすぎず、身体での表現も増やしていきます

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【村田・山手が創作に関わった作品たち】

・『雲は透ける、ペーパーナプキンにあこがれて』(2018年)
・ジャグリングダンススタジオ tasse 企画 [tasse trial Vol.1 join] (2018年)
・もりげき王2018  ピヨトープ (2018年)
・『月の流した涙、やがて君へ、海へ、たどりつく』(2019年)
・『ツーカー』(2019年)
・『ウルトラマリン・ライフ ワークインプログレス』(2019年)
・『SPR.OUT』(2020年)

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山手 清加(やまて しずか)
盛岡市出身のダンサー・獣医師。フランス・トゥールーズの国立振付センターにて2年間コンテンポラリーダンスの研修を受ける。
ジャグラーの山村 佑理(やまむら ゆうり)と共にジャグリングとダンスの創作集団 tasse(タス)を運営。現在、ヨガの資格取得に向けて勉強中。


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稽古を見ながら何度も髙橋に「役者からのアプローチがほしい」と話す村田。ただ演出をつけてもらうのではなく、役者自身から演技や表現の提案をするという場面は、たしかにあまり見かけません。
『踊るよ鳥ト』の稽古場に限った話ではなく、どの稽古場でもトップダウンの形になりがちではあります。
創作に関わっている一人ひとりが等しく責任を持つ、という場づくりと個人の意識の変化が今後の課題になってきます。


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次回の投稿は 11月2日(月) です。
ではまたここでお会いしましょう!
〈文・写真 石橋奈那子、写真 工藤早織〉

06「向き合うとき」はこちら⇒


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