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SUGB 因果巡

 雷が落ちて一塁手と走者が吹き飛ばされた。
 いつにも増してジャルマウント球場の磁場は乱れていた。走者が出るたびに落雷が起きるので試合自体は全く動くことはないが、チームの人数は着々と減ってきている。両チーム共にネクロマンサーもバイオメトリックリペアーも用意しているもののチームメイトの肉片が少なすぎた。
 しかしSUGB(スーパーウルトラグレートベースボール)に引き分けはない。どちらかが滅亡するまで続けるのがルールだ。SUGB(スーパーウルトラグレートベースボーラー)はルールを重んじる。だから試合は続行される。
 球場にいる者は、自分の運命を呪うような顔かもしくは幸福そうな笑顔を浮かべていたが、マウンドに立つ因果廻だけは落ち着いた表情をしていた。キャッチャーからのサインに二度、首を振り投球姿勢に入った。地を這うようなアンダースローだった。ベースボールは確率のスポーツだ。相手バッターのコ・ロ・バモは初球から肩に備え付けている直進ミサイルを発射する確率が高く、実際にミサイルが廻の頭上を突っ切ってバッググラウンドをえぐり取るように破壊した。
 ワン・ストライク。
 球審の霊体の高らかな宣言を押さえつけるように
「祝福を!」
 と相手側のベンチから誰かが叫んだ。
 その瞬間にコ・ロ・バモの身体が発光した。
 全てが赤い閃光に包まれていた。
 ジャルマウント球場は次元ごと消失した。

 キングサイズのベッドのど真ん中で廻は目を覚ました。
 すぐに自分の身体を確認する。パーツはすべて揃っているようだった。最悪、右手が無事ならそれで良かった。身体を起こす。
 サイドボードにはいつものように分厚いノートと鉛筆が置いてあった。廻はノートを開き、右手に鉛筆を持つと1イニング辺りの投球数、球種、バッターの癖、そして自分の死亡理由と死亡回数を細かく記していった。

つづく


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