LGBT運動と、日本での今後


近年、LGBTという言葉をニュースや雑誌の紙面でよく見かけます。
セクシャリティの多様化が叫ばれて、それを象徴する言葉として流布されるようになりました。

現在はLGBTQとされており、多様化が進んでいる事を伺わせます。
このLGBTの定義と認識が広がったのは何かきっかけがあったのでしょうか。

紐解いていこうと思います。

①同性愛車への蔑視の始まりと、その経過

LGBTQの方は古くから現在まで、性的マイノリティと差別され、蔑視され続けています。その差別と闘い、性の多様性を認めさせる為の運動を、ジェンダーレス運動と言います。

そもそも人間は、古来より同性愛を受け入れる文化の中で生活していました。古くは古代ギリシャ文明に男性少年愛についての記録があります。

日本でも衆道、色若衆と呼ばれる男性同性愛の文化がありました。
織田信長や徳川家光などが代表として挙げられますね。

同性愛が差別視されるようになったのはキリスト教の影響と考えられています。
キリスト教は生殖を目的としない性交は教えに反し、非道徳とされています。布教の広がりと共に、同性愛者は差別され、迫害されるようになりました。

日本でも明治時代以降、西欧の文化が取り入れられていきました。
その中で、性に対する多様性が失われ、それが現代まで続いてきました。

②LGBT運動の始まり

LGBTという言葉が最初に使われたのは2006年、モントリオールでの「LGBTの人権についての宣言」においてでした。

それまで様々な性的マイノリティの方が悩んでいた所に一つの所に集まれるフラッグシップとして瞬く間に広がっていきました。

もちろん、LGBTという言葉が出来る前から、ジェンダーレスの動きがはありました。

有名なものとしては、1969年のストーン・ウォール事件でしょう。
アメリカのゲイバー、ストーン・ウォールの店員が警察官に逮捕されるという事件が起こりました。

その時代アメリカでは、同性愛を禁止する法が制定されていました。
それにも関わらず、多くの同性愛者が警察官に抵抗したのです。

LGBTの歴史の中では、この事件が初めての社会運動とされています。

また。1979年10月、ワシントンで75,000人が同性愛者の権利を求める大行進を行いました。
アメリカで行われた、初のLGBTの政治的デモとなり、この声は結果として国を動かす事になります。

多くの地域で性的マイノリティによる抗議運動が起こっていますが
それは多くがボトムアップであり、誰かが営利目的で行っているものではないのです。

③LGBT運動の広がりと弊害

ジェンダーレス運動が広まるにつれ、性的マイノリティの立場は徐々に工場していきました。

オランダをはじめ諸国で同性婚が認められ、LGBT先進国である
デンマークでは、職場でのカミングアウト率が70%にも及んでいます。

こういった流れを汲み、日本でもパートナーシップ制度や、社内LGBT施策を講じる企業が増えてきました。
しかし、世界的に見ても日本の取り組みは遅れており、ジェンダーギャップ指数(男女格差)ランキングでは153ヵ国中121位という結果になっています。

この理由の一つに、SOGI(性的指向、性自認)に関するハラスメント、SOGIハラの問題があります。SOGIハラスメントは2017年に提唱され、その後2019年に制定されたパワハラ防止の中に、SOGIハラも含まれる形で規制されたのです。

現在も、ハラスメントは形を変え、働く現場に存在しています。
それも、ハラスメントを受ける被害者の形ではなく、訴えられる側のうろたえた形として。

今でもパワハラ、セクハラの領域が分からず、訴えられても自覚がないという事が日本では多発しています。

理解ではなく、罰則が先にある前提で、かつ理解がされないSOGIハラの理解が進む訳がありません。

④Ally(アライ)の存在

LGBTアライとは、「同盟」、「仲間」を意味する英単語から由来する、LGBTの方々に支援するする人々の事です。
アライとは決して当事者がLGBTである必要が無く、一般的にも非LGBTの人の事をストレートアライといいます。

アライとは、ただLGBTに共感するだけではなく、地位向上、権利擁護の為に動いていく人の事を指します。

どうすればアライになれるか、それは「すべての価値観の人達と向き合う」、この姿勢があればだれでもアライという事が出来ます。

日本では企業や自治体がLGBT+フレンドリーを謳い、対策に乗り出す場面が増えています。

しかし、このアライという制度は明確な基準がありません。
日本LGBT協会のHPを見ても、LGBTの理解を増やしていく事、そして
支援をしてくれる人を増やしていきたい、としか書かれていません。

現状、アライと宣言しても実際出来る事はどれだけあるのでしょうか。

企業向けにLGBTフレンドリーの研修を行っている(株)nijiリクルーティングによると、アライについて研修を行った後、実際に行動に移せないケースが3点あるそうです。

・具体的な行動指針が分からない
・LGBT当事者が周りにいない
・行動が結果的に不適切と言われることがある

この3点を見ると、日本がまだまだLGBTの方々が簡単にカミングアウトできる土壌ではない事、アライというのがいかに曖昧な立場なのが分かります。

では何故LGBTフレンドリーが叫ばれているのか。
オリンピックのスポンサー企業にLGBT対策が義務付けられたり、
パワハラ条例法案で罰則を前提としてLGBT対応が取られたり。

トップダウンで行われている限り、真の理解というのは訪れないでしょう。アライというのも、暫くはビジネスの手段として使われると思います。

LGBTの方が差別を受けたり、不利益を受けないよう切に願います。

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