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終わりが見えた、沖縄

2022年5月のこと。
もはや国内旅行は行く人は平気で行ってる感じだった。
当時の自分の気分としてはいわゆる疫病禍の中、仕事とはいえ結構出掛けさせていただきましたし、その一方で波の緩い時とはいえ、どこか後ろめたさは残り解放感はなかった。
一応旅雑誌のコラム取材なのだが編集長にも今回くらいから
沖縄の旅サイコ―みたいな切り口でいいのでは?と持ち掛けたところ・・・
「ダメです。やめてさい」
疫病禍終了までこりゃまだ先が長いわと思った次第である。

しかし観光の現場は違っていて飛行機も満席、
国際通りには学生さんもいっぱい。外国人もチラホラ。

私自身、沖縄本島は20年ぶりくらいか。
浮かれてはいけない前提なので、いい感じのルックスの店で食事をする
という取材テーマに。
いいルックスとは決して綺麗な店ということではない。
いい感じで年季の入ったいい感じの外観の店(この際味は度外視)を求め、ふらりと入るつもりであったが・・・敵もさるもの。
沖縄に限らず近年観光地は古民家風という古い建築物を利用した
こじゃれた、こしゃくな店が多く、入ってみて興ざめということが多い。
もはや観光地に限らず真の昔ながらの店となると極めて貴重ではないかと。
特にこの疫病禍でさらに減ったおそれも。
こっちも特に調べて来てないため偶然はなかなか難しい。
いろいろ見ているうちに基準も曖昧になってくる。

2日目、ちょと足を延ばして本部町まで。
ここまで行っていい店がなかったら今回の取材マズいぞ、というところで、

これこれ!

これにて今回の取材成功を確信。
昼一番の客だったようで店の人もなかなか出てこない。
気難しいおばあが出てくるのかと思いきや、
さややかな若奥様風の女性が。
中(いきなり座敷)に通されると。

そうそう!古民家風じゃない、この人んち感。たまらん!
しばらくは客私一人だったのでこの素晴らしい時空を堪能することに。
ルックスでやられて何の店か確認してなかったのだが
鶏飯の店のようだ。本来奄美の名物で地元飯ではないようだが
そんなことはどうでもいい。店の外観も中も最高でしかも飯もうまい。
もはや何も言うことなし。

しばらくして2組他客が。
その一組が男女カップル。男いかつい、女にデレデレ。
声デカいし女にいちゃついて女に怒られてる。女のほうが常識人。
男の頼んだもんが来た途端
「これ、ぜったいおいし~やつ~!これぜったいおいし~やつ~!」
大声で歌い上げる男。半ギレの女。
終わった・・・俺の素晴らしい時間。

ただ怒りはなかった。男いかついし。
また半ばあきらめてたいい感じの店にも出会えて
いい仕事にもつながった達成感もあったので。
更に飯を食う店でデカい声で歌う〇〇な男。
疫病禍、終わったな。
そう実感した沖縄の旅だった。

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