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カットする人は瞬発力、カラーする人は柔軟性が特に違ってくる。

自己紹介にもあるが、自分はカラーリストだ。

たまに一般のお客様に聞かれる。

「カットしないんでしすか?」

その時の答えとしては、

「やれと言われればできるんですけどね。できなくはないんですが、カラーリストなもんで。唯一カットするのは、妻の髪の毛ですかね。」

実際にカットをしていた時期もあったが、長年の継続した鍛錬はつまれていないのでうちのカッター(スタイリスト)ほどにこだわりのある形や質の高いカットができるかは自信はない。

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たまに美容師さんに聞かれる。

「カットしたくならないんですか?」

その時の答えとしては、

「たまにしたいなと思うときもありますよ。だって美容師だし。」

と答える。

その美容師さんの質問の意図はこうだ。自分でカットしていないのに、デザインカラーをしたりパーマかけたりするのは難しくないですか?もしくは、自分だったらこうしたいなみたいなこともありますよね。といったところだろう。

うむ、確かにたまにそんなときはある気がする。


でも、それはもしかするともともと分業制で育ったという経験のため、他人のデザインに自分のデザインを描き込むみたいなことに対して慣れていることは確かだ。しかも色をつける事で。もし自分が初めからカットもカラーもする人間であればその感覚は持ち合わせる事はなかったのかもしれない。

ヘアデザインをつくる上でハサミかハケ、どっちを持っているかの違いに過ぎないが実質カットする人間とカラーする人間には肉体的にも心理的にも違いがある。

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接客する時の呼吸の違い。

カットはミリ単位での細かい仕事が求められる。呼吸は浅くなり、筋肉には適度な緊張感がある。カラーを塗ることはそこまで細かさは求められず、的確なハケ捌きとスピードは経験によりリラックスした状態でも行える。


会話する状況の違い。

アシスタントが一緒なのカラーを塗る状況ではその空間は3名での会話になる。話は盛り上がり、一人で話すということもあるが、もう一人に話をするということもできる。ワンクッションおく会話の進め方が可能だ。カットするときはスタイリストの独壇場だ。アシスタントがヘルプに入ることほど邪魔なことはないだろう。目の前のお客様に集中し、1人のペースで仕事を進めることができるのは気が楽でいい。


どっちが良いとか悪いとか、好きとか嫌いとかではなく、


数をこなしてスキルアップするということは、技術職の必然的なことなのだか、質を上げるための肉体的、心理的なトレーニングはやや違いがあるのではないかと思う。あくまで、同サロン内での比較でしかないのだが、明らかに経験年数が10年以上になるとカッターとカラーリストで性格が分かれている。それにともない、鍛錬されていく部分がかわり出来上がる筋肉も、そして筋肉のつき方も違うというようなことだ。

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対お客様の場合、カットする人は瞬発力、カラーする人は柔軟性が特に違っている。あくまでも主観的な意見だが。


「さあ、明日からカットもします。」

てことになると、もはやカラーリストではなくなる。カラーリストはカラーしかしないからカラーリストなのだ。カラーが得意なスタイリスト、で打ち出すてことは、専門的観点からみるとやや弱い印象になってしまう。


カットをしたいという願望はなくはないが、それは独自のビジネスを行うときに生まれる選択肢であり、今いる環境で考えることではない。肉体は環境に根を張り、呼吸はある一定のリズムで体内に酸素を送り込む。自分が今何ができるのか、そしてそこを追求する必要があると考える。


昨夜カットをしているスタイリストを見て、そういうことを考えてみた。





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