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2020年5月の記事一覧

『堆塵館』エドワード・ケアリー(著)古屋美登里(訳)

19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに……。 ハリーポッターとアダムスファミリーをまぜたような雰囲気

『翻訳地獄へようこそ』宮脇孝雄(著)

『死の蔵書』や『異邦人たちの慰め』など、エンターテインメントから文学まで多様な作品を訳してきた宮脇孝雄が、数多くの翻訳実例も引用しつつ、翻訳のやり方を実践的に紹介。読めば読むほど翻訳者の苦悩と翻訳の奥深さがじわじわ伝わってくる一冊です。悩める翻訳者と海外文学ファン必読。地獄で仏の実践翻訳ゼミナール。 作者が翻訳本を読んでいて見つけた誤訳を解説するエッセイ集。ミシュランマンスーツの誤訳(着ぶくれしてミシュランマンみたいになってる人を、ミシュランのスーツを着た人と訳した)は笑え

『11月に去りし者』ルー・バーニー(著)加賀山卓朗(訳)

1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた――MWA賞受賞作家の話題作。 装丁からハードボイルド物を予想してたけど、映画的エンタメ傑作。これほど登場人物達が予想を裏切る話はそうそ

『キヌ六(全2巻)』野村亮馬(著)

いつとも知れない未来社会。高度に機械化された都市の飲食店で働くサイボーグ少女「六」の前に、一人の少女「キヌ」が現れた。「火星人類」を自称し、武装したエージェントに追われるキヌの正体とその目的とは? 若手SF作家の注目株・野村亮馬が挑戦する、血と硝煙渦巻く脱出行! ベントラーベントラーとは打って変わって、バイオレンス・アクション・SF。全身義体の少女(ラーメン屋)と地球生まれの火星人類少女がいろんな組織とドンパチやりながら火星目指して駆け抜ける! 割と躊躇なく殺し合うし、少

『ベントラーベントラー (全3巻)』野村亮馬(著)

第1巻の内容紹介: 地球の危機も“うやむや”のうちにゆる~く解決! したりしなかったり!! 緊張感とはとことん無縁のお気楽“のほほんSF”☆ ※『ベントラーベントラー』とは……「地球外より侵入した生物及び漂着物に対する処遇を在地球外生物に仰げ」という意味の、首都圏民営警察外星生物警備課における隠語(ジャーゴン)である――。 紹介文に「お気楽“のほほんSF”」とあるが、「お気楽“のほほんハードSF”」が真である。地味なリアリティが非常に高い。サイエンス設定だけでなく、もし宇宙

『僕と君の大切な話(全7巻)』ろびこ(著)

第1巻の内容紹介: 同じ学年の東くんに片想いをしてきた相沢のぞみ。ある日、勇気を出して帰りの駅で声をかけて告白! だけど、東くんの返事は超予想外の言葉だった…!! なかなかかみあわない不器用な2人だけれども、会話を続けるうちに、次第に距離は縮まりはじめ? 2人のすれ違いに笑いと共感とニヤニヤの嵐! 天然ストーカー女子相沢さん×ツンデレ眼鏡男子東くんの新感覚“トーキング”ラブコメディー、開幕! 老若男女におすすめできるギャグラブコメ。言語センス、スピード感、画力が絶妙。いきな