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やもえこ
2019年4月1日 20:04
男の恋人が死んだ。 年度ももうすぐ変わろうかという、落ち着きのない頃合いのことだった。その落ち着かない空気に飲まれたように、あっけなく男の恋人は交通事故で逝ってしまった。男は葬式に呼ばれ、何度か顔を合わせたことのある恋人の親族と涙を流し、粛々とその骨を壺へと見送った。…だというのに、葬式の翌日からも、男の周りは恋人が生きているかのようにふるまい続けた。それは男からすれば何もかもがおかしい
2019年2月21日 22:47
トースターはちりちりとパンを焼き上げている。少しずつ香ばしいバターの香りで満たされて行く部屋の中で、手挽きの豆からコーヒーを入れる。細い線を描きながら注がれるお湯に気をつけつつ、既にテーブルの上に並べられている卵とベーコンに注意が向く。あれが冷める前に全ての準備がととのうといいのだけれど。ふと自分の手際に心配を抱いた頃。寝ぼけ眼のあなたが起きてきて、「いいにおいした」だなんてつぶやきながら