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四月の送り

男の恋人が死んだ。

年度ももうすぐ変わろうかという、落ち着きのない頃合いのことだった。
その落ち着かない空気に飲まれたように、あっけなく男の恋人は交通事故で逝ってしまった。
男は葬式に呼ばれ、何度か顔を合わせたことのある恋人の親族と涙を流し、粛々とその骨を壺へと見送った。
…だというのに、葬式の翌日からも、男の周りは恋人が生きているかのようにふるまい続けた。それは男からすれば何もかもがおかしい

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海の見える家

トースターはちりちりとパンを焼き上げている。
少しずつ香ばしいバターの香りで満たされて行く部屋の中で、手挽きの豆からコーヒーを入れる。
細い線を描きながら注がれるお湯に気をつけつつ、既にテーブルの上に並べられている卵とベーコンに注意が向く。あれが冷める前に全ての準備がととのうといいのだけれど。
ふと自分の手際に心配を抱いた頃。
寝ぼけ眼のあなたが起きてきて、「いいにおいした」だなんてつぶやきながら

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