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ジェンダー平等と女性のリーダーシップについて考える | 「Women in Leadership」イベントレポート①

2021年3月、UN Women(国連女性機関)日本事務所の後援のもと、国際女性デーによせたオンラインイベント「Women in Leadership」を#NoBagForMe PROJECTが主導して開催しました。そのセッションの模様を全3回に分けてお届けします。 

初回は、ひとつ目のセッションとなる「Don’t be silent. 声をあげる女性たち」から。世界経済フォーラム(WEF)が発表する「ジェンダー・ギャップ指数」で153カ国中120位、先進国では最下位となっている日本に対して、ここ数年で声をあげる女性も増えています。その潮流のなかで起こっている変化について、ソフィの長井千香子がモデレーターとなり、UN Women日本事務所長の石川雅恵さんとお笑い芸人のバービーさんが語り合いました。
ここで話された内容は、性別関係なくすべての人に関わる事柄です。ぜひ身近な人々同士で対話をしてみてくださいね。

どうしたらジェンダー・バイアスはなくなる?

「女性だからお行儀よく」「男性だから涙を見せてはいけない」そんな言葉を聞いた経験はないでしょうか。実はこれらもジェンダー・バイアスのひとつ。私たちは性差に対するステレオタイプを無意識のうちに刷り込まれ、それが当たり前のことだと考えて生きているのです。

そうした価値観に子供の頃から疑問を抱いていたバービーさんは、YouTubeやエッセイなどを通じて意見を発信しています。たとえば「男の胃袋を掴む料理対決」といったよく見るテレビ番組の企画も、実は「料理は女性がするもの」というジェンダー・バイアスをはらんだもの。そのことについてバービーさんは異論を唱えました。

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バービー:いわゆる「綺麗じゃない女性」が男性の心を掴むための手段として料理の上手さを引き合いに出されることに、ずっと違和感を持っていて。美醜が優れない人は料理で胃袋を掴むしかないんだよっていう企画が昔はすごく多かったんですよね。
それについて「これは何だ?」と思う瞬間があって。でも、そうした状況を問題視する意見が増えてきたことによって、テレビの世界も少しずつ変わってきている気がします。それによって、昔ながらのやり方が通用しなくなっているので、価値観をアップデートできない人たちは辛そうですけど、互いにフォローアップしていきたいなと思います。

ジェンダー・バイアスは女性だけの問題ではありません。「一部の研究では、ジェンダーの平等がない社会ほど男性の自殺率が高いと示されています」と石川さん。ジェンダー・バイアスを取り除くことは、男性の生きづらさを軽減することにもつながる可能性があるのです。

そこでUN Womenでは、このジェンダー・バイアスの低減を目指して、さまざまな取り組みを行なっています。転機になったのは、1995年に開催された「第4回世界女性会議」。女性の貧困や教育など12分野の目標を掲げた行動綱領が採択され、各国の女性政策が推進される後押しになりました。しかし、それらが達成できているかというと……課題はまだ山のようにあります。 

また、現在は「ジェネレーション・イクオリティ」というキャンペーンを実施し、世代を超えてジェンダー平等が実現できるように賛同者を募っているそう。また、メディアや広告など発信する側が有害なステレオタイプを伝播させないようにする「アンステレオタイプ・アライアンス」を2017年にスタート。日本でも2020年5月に立ち上がり、現在は12社が参加しています。

ステレオタイプの上塗りにならないように

アンステレオタイプアライアンス日本支部と日本経済新聞社・日経BP社による「日経ウーマンエンパワーメント広告賞」の初代UNSTEREOTYPE広告賞に、一昨年からスタートした#NoBagForMe PROJECTが選出されました。「”生理は隠さなければいけない”という固定観念を変えようという呼びかけの素晴らしさはもちろん、それを『過剰な包装はいらない』という誰もができるアクションとして促したことが、審査員からの評価につながりました」と石川さんは選出理由を説明します。 

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そうした会話の流れから、テーマは「生理の話ってタブー?」へ。#NoBagForMe PROJECTに参加したバービーさんは、この1年で大きな変化があったと感じているそうです。

 バービー:2019年は友達にタンポンをあげようとしても「使わないから」と断られることが多かったんです。でも、2020年になってから「ちょっと使ってみようかな」と興味を持つ人が増えてきて。情報が広まることで気持ちって変化するんだなと実感する1年でした。

また、バービーさんが発信しているYouTubeのコメント欄がコミュニティとなり、生理用品の使い方について教え合うなど共助の動きがあるそうです。そうした状況を石川さんは自身の経験を交えて賞賛します。 

石川:生理について話したくない人を尊重しつつ、一方でタブー視しなくすることで悩みを抱えている人が減っていくといいですよね。私は未熟児で生まれたことも影響してか、15歳になるまで生理が来なかったんです。でも、それを親に相談することもできず、ずっと不安でした。だから、生理に関する発信をしていらっしゃるバービーさんは今のティーンエイジャーにとってすごく頼もしい存在だと思います。

一方で世界に目を向けてみると、「まだまだ偏見や課題も多い」と石川さん。

石川:国によっては学校に行けなかったり、小屋に閉じ込められたり、料理することを禁止されたりと不便な生活を強いられることも多いんですね。また公衆トイレがないケースも多く、同じ生理用品を1日中使わなければいけないなんてこともあります。

こうした生理の問題も含めて、世の中にはまだまだ解決しなければいけないことがたくさん。どのようなアクションをしていくべきなのでしょうか。

石川:ジェンダー平等の話は実は難しいものではなく、それこそ家庭で話せることでもあるんですね。これは私の家庭の話なので恐縮なのですが、先日、息子と一緒に家電量販店に洗濯機を買いに行ったところ、男性の店員さんから「洗濯機はお母さんが好きなものを選んだらいいんだよ」と言われたんですね。そうしたら、息子が「それはジェンダー平等じゃないよね」と反論してくれて。そのときに私の教育方針は間違っていなかったと感動したのですが(笑)、そうやって家族で話し合うことで変わることもあるんです。

続くバービーさんは、自分たちのアクションが新たなステレオタイプを生むことを危惧しつつも、自分の頭で考えることが大事なのではないかと持論を展開します。

バービー:つい先日、学生さんと話す機会があって、「ダイエットをしたり、かわいくなりたいことって悪いことですか?」と質問されたんですね。それでハッとして。私が取り組んでいるボディポジティブの活動も、発信する側になったときに同調圧力になってしまったら、ステレオタイプの上塗りになってしまうんだろうなと思ったんです。日本は一致団結する力が強いから特に。もちろん、そうやって集団で結束する良さは認めつつも、一人ひとりが自分の頭で考えて選択できるようになると辛い思いをする人が減っていく気がします。

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そうした二人の言葉をもって、約40分に及ぶ最初のセッションは終了しました。 #NoBagForMe PROJECTも引き続き、一人ひとりが自由に選択できる社会を目指して活動していきたいと思います。

 次回は、ふたつ目のセッションとなる「コロナ禍、女性が直面する課題と支援」のレポート記事をお届けします。 


文・村上広大
写真・山口雄太郎


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