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海外では「野菜から食べる」は推奨されていない…医師が解説「日本人が誤解しがちな"食事法のウソ"」

「ベジファースト」の健康効果はエビデンスが不十分
PRESIDENT Online 2024/02/28の記事より

医師の大坂貴史さんによれば、ベジファーストなどの流行っている健康情報は必ずしも正しいとは限らず、それぞれの情報を慎重に確認することが大切であるという。ベジファーストは一部の利点が示唆されているが、その健康効果はまだ確定的ではない。

通常の砂糖よりカロリーを抑えられる人工甘味料

人工甘味料、海外では主に非砂糖甘味料(NSS)と呼ばれ、天然由来と人工的なものが含まれます。
NSSは砂糖よりも甘さが強く、必要な量が少ないためカロリー摂取を抑えることができます。
NSSは血糖値の上昇を抑え、短期間での体重減少にも寄与する可能性があります。
しかし、天然と人工の区別による健康影響はまだ明確ではないため、一概に人工甘味料が体に悪いとは言えません。

うまく使うことで健康に良い効果を

人工甘味料(NSS)の使用は、短期的には体重減少に効果があるが、WHOは長期的な使用に関してはメリットが少なく、一部の健康リスクを増加させる可能性があると推奨しています。
長期と短期の研究結果の違いは研究デザインによるものです。
NSSが直接健康に害を及ぼすわけではなく、甘いものを求める習慣が過剰なエネルギー摂取を招くことが問題です。
NSSとがんの関連は否定されており、短期的には有用ですが、甘いものへの欲求を管理することが重要です。
糖尿病患者や虫歯予防にはNSSが推奨されています。
適切に利用すればNSSは健康に役立つことがあります。

血糖値を下げる「ベジファースト」の本当の効果

ベジファーストは、野菜を先に食べることで血糖値の急激な上昇を防ぎ、生活習慣病や肥満を抑制する効果があるとされています。
2011年の研究では、2型糖尿病の患者を対象に野菜を先に食べる食事順序の影響を調査し、この方法が血糖値のコントロールに役立つ可能性が示唆されました。
ベジファーストは、糖の吸収を抑え、ダイエットや健康維持に有効な食事法と考えられています。

海外ガイドラインでベジファーストが言及されないワケ

ベジファーストに関する研究は血糖値の低下やHbA1cの改善に一定の効果があることを示していますが、海外の糖尿病や肥満のガイドラインに取り入れられていないのは、そのエビデンスが十分でないからです。
研究設計において比較される食事が非現実的なケース(例:先にお米だけを食べる)であることや、ベジファーストと同時に他の食習慣も改善を促している場合、ベジファースト単独の効果を正確に評価することが難しいため、一般化するのが困難なのです。
したがって、ベジファーストが血糖値管理や体重減少に効果的だと一概に言えないのは、これらの研究結果が特定の条件下でのものであり、全ての人に当てはまるわけではないからです。

「有名なこと=正しいではない」

ベジファーストは野菜を先に食べることで血糖値の上昇を抑え、食事の量を減らすことができる可能性がある食事法です。
しかし、その効果は限定的であり、研究デザインの問題や対象が糖尿病患者に限られているなど、一般化するのが難しい側面があります。
ベジファーストが長期的な健康効果をもたらすかどうかは不明であり、単に「野菜を先に食べる」だけで大きな健康改善を見込むのは過信であると言えます。
ただし、野菜摂取量が増えるなどの副次的な健康効果は期待できるため、完全に否定するものではありません。
重要なのは、流行に流されず、根拠に基づいた情報を理解し、自身に合った食習慣を見極めることです。

大坂 貴史(おおさか・たかふみ)

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