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仏教の出発点は、「一切皆苦 (人生は思い通りにならない) 」と知る事から始まります。
なぜ、苦しみが生まれるのでしょうか?

仏教ではこの原因を、「諸行無常 (全ては移り変わるもの ) 」「諸法無我 (全ては繋がりの中で変化している) 」という真理にあると考えます。
これらを正しく理解した上で、世の中を捉える事が出来れば、あらゆる現象に一喜一憂する事なく心が安定した状態になる。
つまり、苦しみから解放される、とお釈迦様は説かれています。
これが、目指すべき「涅槃寂静 (仏になる為に仏教が目指す"さとり") 」なのです。
難しく感じられるかもしれませんが、それぞれをご自身に当てはめて考えていくと、とても納得しやすいお話になるはずです。

これらの4つの言葉について詳しく書きたいと思います。

① 一切皆苦 (人生は思い通りにならない)
以前の投稿でもお書きしましたが、お釈迦様は、私達の世界は「自分の思い通りにならない事ばかりである」という真理を説いておられます。
仏教の「苦」とは、単に苦しいという事ではなく、「思い通りにならない」という意味です。
この「苦」には、「四苦八苦」と呼ばれる8つの苦しみが挙げられます。

「四苦八苦」
●生苦 (生きる苦しみ)
●老苦 (老いる苦しみ)
●病苦 (病気の苦しみ)
●死苦 (死の苦しみ)
●愛別離苦 (愛する人や物と別れる苦しみ)
●怨憎会苦 (会いたくない人や物と会わなければならない苦しみ)
●求不得苦 (求めた物が得られない事の苦しみ)
●五蘊盛苦 (肉体あるがゆえの苦しみ)

全て誰もが実感する事ばかりだと思います。
これらの苦しみを理解する為に、お釈迦様が3つの真理を知る必要があると説いていらっしゃいます。

② 諸行無常 (全ては移り変わるもの )
世の中のあらゆるものは一定ではなく、絶えず変化し続けているという真理です。
この世の物事は常に変化を繰り返し、同じ状態のものは一切あり得ません。
それにも関らず、人間はお金や物、地位や名誉、人間関係や自分の肉体に至るまで、様々な事を「変わらない」と思い込んでいます。
さらに、このままであって欲しいと願ったりもします。それが「執着」へと繋がるのです。
このような苦しみにとらわれない為には、「もの事は必ず変化する」
全てが無常の存在である事を理解する事が大切なのです。

③ 諸法無我 (全ては繋がりの中で変化している)
全ての物事は影響を及ぼし合う「因果関係」によって成り立っていて、「他と関係なしに独立して存在する物など無い」という真理です。
自分の生命や財産も、全て自分の物のように思いますが、実はそうではありません。
世の中のあらゆる物は、全てがお互いに影響を与え合って存在しています。
自然環境と同じように、絶妙なバランスの上に成り立っているのです。
こう考えると、自分という存在すら主体的な自己として存在する物ではなく、互いの関係の中で「生かされている存在」であると気付かされます。

④ 涅槃寂静 (仏になる為に仏教が目指す"さとり")
仏教の目指す苦のない"さとり"の境地を示しています。
仏教に限らず、あらゆる宗教は「どうしたら皆が幸せになれるのか」を追求しています。
しかし、世の中は自分の思い通りにならない事ばかりです。
そんな時に、人は自分以外に原因を求め、不満になり、怒りを抱きます。
仏教では、こうした怒りは全て、自分自身の心が生み出していると考えます。
その原因となっているのが、疑いや誤った物の見方、プライドや誇り、欲望と言った「煩悩」です。
「煩悩」を消し去り、安らかな心を持って生きる事こそ「涅槃寂静」"さとり"の境地なのです。
そこに到達する為には、先に挙げた「諸行無常」「諸法無我」正しくを理解する事が大切です。
あらゆる現象に一喜一憂する事なく「心が安定」した状態になれば、結果として幸せに生きる事が出来るのです。

そして、思い通りにならない人生を苦しみなく生きる為には、どうすれば良いのでしょうか?
その方法が、「四諦・八正道」という教えに示されています。
これは、お釈迦様が苦しみのメカニズムを説き明かし、煩悩をコントロールして生きる方法を具体的に説かれた教えなのです。

次回は、「四諦・八正道」について書きたいと思います。

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